『花王』人気すぎて、わずか4日で終了「かなりオトク」
日用品メーカー・花王が先月(2月)にリリースしたアプリ「Kaoコレモ!」が、あまりの人気の高さゆえに、わずか4日で新規ダウンロードが終了となったことが話題を呼んでいる。ユーザは購入済みの同社の商品バーコードをスキャンしてポイントを貯めると、複数の同社商品のなかから選んだものが無料で手に入るという、かなりオトクなアプリ。それゆえに短期間のうちに多くのユーザを獲得し、数日で予算の上限に達したという。花王がこのようなアプリを提供する狙いは何か。また、今回リリースされたのは試行版だが、正式版のリリース予定はいつなのか。また、マーケティング戦略としてどう捉えるべきか。花王への取材を交えて追ってみたい。
衣類用洗剤「アタック」、柔軟剤「ハミング」、衣料用漂白剤「ワイドハイター」、住居用クリーナー「マジックリン」、おむつ「メリーズ」、「花王石鹸ホワイト」、歯磨き粉「クリアクリーン」など幅広いカテゴリの商品を展開し、家の中に一つは商品があってもおかしくはないほど消費者にとって身近なメーカーである花王。2024年12月期連結決算の売上高は1兆6284億円、営業利益は1466億4400万円、当期利益(親会社所有者帰属)は1078億円に上り、国内ではP&Gと並ぶ2大日用品メーカーの1社となっている。
その花王が2月3日にリリースしたアプリが「Kaoコレモ!」。購入済みの同社商品をスキャンしたり同社の動画広告を視聴したりしてハートを6個貯めると、複数の同社商品のなかから選んだものが無料で自宅に届けられるという内容。「オトクすぎる」ゆえに、わずか4日で予算の上限に達したため新規ダウンロードが終了となったという。その特徴について、花王に聞いた。
「生活者と花王商品の新たな出会いを創出するアプリです。お客様には、ご家庭内の花王商品のバーコードをスキャンしながら、ポイントを集めていただきます。また、アンケートに回答したり動画広告を視聴したりすることでもポイントを貯めることができます。貯まったポイントは、景品リストの中のお好きな花王商品と交換でき、3商品分の交換を終えると、景品として無料でご自宅にお送りいたします」
ユーザ側には無料で商品を獲得できるという明確なメリットがあるが、花王がこのようなアプリを提供する目的は何か。
「普段何気なく選ばれていた生活用品の多くが実は花王ブランドであるという点に気づいていただき、『花王ファン』の拡大を図りたいと考えました。また、『景品を選ぶ過程で知らなかった花王製品に出会っていただくこと』や、『気になった商品を景品として受け取り、試しに使っていただくこと』などを通じて、皆様の日々の暮らしがより豊かになることに貢献したいという想いもあります」(同)
花王にとっては新しい気づきや想定外の動向などもあったという。
「アプリのプロモーション活動をしていないにもかかわらず、非常に多くのお客様にご利用いただけたことを大変嬉しく思っています。SNSでのお客様のコメントは全て目を通しており、開発メンバーにとって非常に励みになっています。また、景品発送前に全ての撮影写真を解析し不正が行われていないかをチェックしているのですが、不正の発生割合を把握できたことも重要な学びとなりました。一部で不正はありましたが、ほぼ全てのお客様に不正なく誠実にご利用いただけたので、心から感謝を申し上げたいです」
気になるのは、正式版のリリースがいつ頃になるのかという点だ。
「今後、効果の分析を行います。アプリをご利用いただいた方が、これまで以上に多くの花王商品をご購入いただけることがわかった場合には、今年中に正式版アプリをリリースしたいと考えています。『Kaoコレモ!』をすでにダウンロード済みのお客様には、詳細が決まり次第、アプリ内で情報発信をしていく予定です」
デジタルマーケティング会社のプロデューサーはいう。
「花王は国内の日用品市場ですでに圧倒的な地位を築いており、黙っていても勝手に消費者がさまざまな商品を購入してくれるサイクルに入っているため、大きく売上を伸ばすための施策ではないと考えられます。
こうしたキャンペーンについて『どのような具体的な成果に結びつくのか』といった観点で語られがちですが、企業側としては、必ずしもすぐに目に見えるような成果を求めていなかったりもします。今回の花王のアプリについても、大きな目的は『ファンの拡大』や『新商品の認知』『アンケート回収によるユーザの声の収集』などだと推察されます。
今ではSNS上で評判がじわじわ広がることでヒットにつながるケースもあり、まず花王のファンに無料でもよいので手にとってもらい、その良さを知ってもらい、それをSNSなどで拡散してもらえればありがたいという考えもあるでしょう」
とのことだとBusiness Journalは報じている。
編集者:いまトピ編集部