きょう『日産』世界初公開

日産は10月29日、「ジャパンモビリティショー2025」で新型「エルグランド」を世界初公開した。1997年の初代登場以降、「プレミアムミニバン」という概念を切り開いてきた同車が長い年月を経て、大きく生まれ変わった。狙ったのは、トヨタ・アルファード/ヴェルファイア(以下、アルヴェル)が築いてきた「押し出しの強い豪華さ」とは異なる、「静かで品のある高級感」という新たな価値だ。
新型モデルのキーワードは「移動そのものの質を高めること」。第三世代e-POWERと最新の電動4輪制御技術「e-4ORCE」を組み合わせ、ミニバンでありながら滑らかで上質な走りを追求する。ボディサイズは全長4995mm×全幅1895mm×全高1935mm、ホイールベース3000mm。伸びやかなプロポーションと端正な造形が、落ち着いた存在感を放つ。
室内は「走るプライベートラウンジ」がテーマだ。木目調やスエード調素材を採用し、照明(アンビエントライト)で空間の表情を変えられる演出が加わった。目を見張るのは、助手席にもオットマンが設定された点だ。アルヴェルでは設定がなく、家族全員がくつろげる仕様として、エルグランドならではの魅力となろう。
快適性や質感に目がいきがちだが、実は見逃せないポイントがあった。近年ますます重要になっている「盗難対策」だ。警察庁が2025年9月に公表した「STOP!自動車盗難」ではアルファードが具体的に名指しされ、盗難被害が特に増えている車種として挙げられた。新型エルグランドは最新セキュリティーを備えることに加え、発売直後という点でターゲットになりにくい側面もあり、安心感を求める層には追い風となりそうだ。
長年、アルヴェルは「存在感・威風・ラグジュアリー」を求める層の象徴として、支持を得てきた。一方、新型エルグランドが目指すのは過度な主張ではなく、家族との時間を上質に過ごすための、大人のミニバン。押し出しの強さが苦手でアルヴェルを選びにくかった、という層に応える選択肢となる。
価格やグレード構成などの詳細は今後、明らかになる見込みだが、アルヴェルよりも手が届きやすい設定となれば、プレミアムミニバン市場のバランスが大きく動くかもしれない。発表後の反響次第では、勢力図が塗り替わることだってあるのだとアサ芸プラスは報じている。
編集者:いまトピ編集部
