巨人、前代未聞の事態

2019年にドラフト5位で星稜高校から入団した山瀬慎之助捕手が、来季の契約を保留したことについて説明したという。今季のほとんどを2軍で過ごした選手の「反旗」は、珍しいことだったようだ。
「話し合いの中で『わかりました、来年頑張ります』とはなれなかった。若い時間の今がメチャクチャ大事。今すぐに試合に出たい。他のチャンスがあるなら、という気持ちも1年間やっていく中であった。その気持ちは伝えました」
巨人の、それも2軍の選手が球団との「ミゾ」を明かすのは前代未聞の事態であり、しかもトレードや現役ドラフトを直訴したかのような言いっぷりだったという。
「山瀬は実際に、他球団への移籍を口にしていました」(巨人担当記者)
星稜高校時代は、ヤクルトに入団した奥川恭伸とバッテリーを組んでいたといい、4季連続甲子園出場した実力ある捕手で「肩と守備は一級品」と、入団当時の原辰徳監督から高評価を受けている。阿部慎之助監督は昨オフにソフトバンクから甲斐拓也を、総額15億円で獲得。
「それでも山瀬は腐らず甲斐に頼み込み、自主トレで弟子入りを志願しました。実力でレギュラーを勝ち取ることに、自信満々でした」(前出・巨人担当記者)
2軍の正捕手として自己最多となる100試合に出場し、課題とされた打撃面は規定打席に届いていればリーグ2位(打率3割2厘)と、結果を出したといい、2位に8ゲーム以上の差をつけて優勝したが、1軍での出場はわずか1試合(10月1日中日戦・東京ドーム)。この試合ではプロ初打点も記録している。
これまで山瀬は他球団から、トレード候補としてリストアップされた事実があるといい、巨人OBは
「今季2軍でしっかり実績を作ったのは、桑田真澄前2軍監督と、大城卓三や岸田行倫を1軍捕手として育成した加藤健前バッテリーコーチの指導によるもの。山瀬に対するこの2人の評価は、極めて高かった」
と語る。
ところが2人は事実上、巨人を追われる形でこのオフに退団。巨人・山口寿一オーナーはこの日行われたオーナー会議で桑田前2軍監督について、
「縁が切れたわけではないと私は思っていますので、またぜひ力を貸してほしい」
と話していたが、2軍でぶっちきり優勝したオフに、
「フロント入りを打診された桑田とのミゾが浅いわけがない」(前・巨人OB)
とのこと。
これまで巨人では監督の起用法やフロントの評価に異議ありと叫んだ選手を冷遇してきた歴史があるといい、
「古くは1988年、血気盛んだった西本聖が皆川睦雄投手コーチと意見が合わず、結局は中日に移籍。1993年には主力だった駒田徳広が、中畑清打撃コーチと口論になり、FAで横浜に移籍しています」(古参のプロ野球担当記者)
という。
阿部監督にさんざんダメ出しをされた続けた秋広優人は、ソフトバンクへ交換トレードに出されている。山瀬の次回交渉は、11月27日に予定されていると「アサ芸プラス」が報じている。
編集者:いまトピ編集部

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