劇団「わらび座」(秋田県仙北市)の劇場開場50年記念の新作「ジャングル大帝レオ」が上演中だ。マンガの神様と呼ばれた手塚治虫の名作が舞台でよみがえる。

 1987年、手塚は秋田を訪れ、劇団創始者の原太郎と対談している。劇団によると、そのときに手塚が「いつか(わらび座で)僕の作品を」と語ったとされ、これまでに「火の鳥 鳳凰(ほうおう)編」「アトム」「ブッダ」の3作品のミュージカル化が実現した。

 今作では、地球のエネルギー危機を救う石「ムーン・ライト・ストーン」を探すレオたちの冒険が中心に描かれる。民俗芸能をベースにした作品を得意とするわらび座の和のテイストと、アフリカのリズムが融合したダンスシーンが特色だ。

 劇団の今村晋介代表理事は「秋田や東北の作品を多く取り上げてきたが、地球が壊れそうな出来事が世界中で起こっている。地球規模のスケール感のある作品が必要で、動物も人間も命懸けになる姿を通して、未来に生きる勇気と希望を届けたい」と話す。

 演出を手掛けた栗城宏さんも「秋田は昨夏に水害が起き、クマが出没する。地球が悲鳴を上げていることを肌で実感している。人間が自然界の一部として、動物とともに地球の未来を救っていく骨太で壮大なスケールの物語を届けたい」。

 レオ役は、これまでの手塚3作品すべてに出演した三重野葵さんが務める。動物そのものの役は初めてといい、「一つの心を持つ生命体としてアプローチしたい」と意気込んだ。

 「ジャングル大帝レオ」は、あきた芸術村わらび劇場(仙北市)で11月24日まで。一般5千円、小〜大学生2500円。(滝沢隆史)