中日は12日の広島戦(マツダ)が雨天中止となり、先発登板が予告されていた高橋宏斗投手(21)が14日の阪神戦(豊橋)にスライドすることが決まった。立浪和義監督(54)が指揮を執る3年間、チームは地方球場で2勝5敗と苦戦しているが、大塚晶文投手コーチ(52)は「意識し過ぎないことが大事」と強調。「僕はマウンドとか気にならないタイプ」と明かした高橋宏は世界に示した“鈍感力”で試合を支配する。

 球場に降り続いた雨の影響で試合開始3時間前に試合の中止が決定。高橋宏の視線は既に用意されたマウンドに向いていた。「地方球場で投げる機会は少ないですし、初めて見てもらうファンの方にいい姿を見せたいです」。スライド登板となる豊橋市民球場での一戦に向けて意気込んだ。

 チームは地方球場を苦手としている。一昨年が1勝1敗、昨季は1勝3敗、今季も4月23日の巨人戦(ひたちなか)で接戦を落とした。投手であれば、マウンドの硬さや高さ、風雨などに対応しなければならない。大塚投手コーチは「地方球場を意識せずにいつも通り投げる。気にしない力が大事」と説いた。

 求められる対応力と鈍感力。「僕はマウンドとかはあまり気にならない投手だと思う。地方も苦にならないです」という高橋宏の1軍での登板は一度。2022年6月29日の巨人戦(郡山)で6イニング2失点と試合をつくった。さらに、右腕は「ファームで投げてきましたし」とニヤリ。3月27日のウエスタン・リーグ、くふうハヤテ戦(ちゅ〜る)以降、3週連続で地方球場で登板。計22イニングで6失点(自責点1)、防御率は0・41だった。

 鈍感力に関しては、折り紙付きだ。昨年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。決戦の地となったローンデポ・パークでの準決勝前日の練習。ダルビッシュ(パドレス)や大谷(当時はエンゼルス)らほぼ全員がマウンドの感触を確かめる中、ベンチ裏で黙々と練習前の準備をしていた。「ボールとかマウンドとかは苦にせず投げられます」。大会で用いたのは使い慣れたミズノ製のロジンバッグではなく、ほとんどの日本人投手が使用を諦めたメジャー製のロジンバッグ。これに驚いたのは野球日本代表「侍ジャパン」投手コーチだったロッテ・吉井監督。「感性はそれぞれですが、そんな変人もいるんですね」。ストレート過ぎる表現となるほど、たまげていた。