カジュアルな服は雰囲気で着こなすことができるが、トラディショナルな服は、正しい知識をもって正しく着ることが鉄則だ。だからこそウンチクを身につければ日頃の装いや服選びはもっと楽しめる。今回取り上げるのはシルエットやデザインによって大きく着こなしの印象を変えるパンツ。中でもスラックスとチノパンはトラッドスタイルの基本だ。自身の好みを知っておくためにも、ディテールやデザインの基礎知識は頭に入れておきたい。

2万7500円/J.プレス オリジナルス(J.プレス & サンズ 青山TEL03-6805-0315)

1.シルエット

着こなしにおける最も需要なデザイン。シルエットによって大きく印象が変わる。

スリム

足にフィットし、すっきりとした印象を与える。ややゆったりめのトップスと合わせたい。

ストレート

股下から裾までが直線的なシルエット。合わせるトップスを選ばない汎用性の高さが魅力。

ペグトップ

テーパードと特徴は似ているが、より腰回りにゆとりがあり、丸みを帯びたシルエット。

テーパード

股下、あるいは膝下から緩やかな曲線で、裾に近づくにつれて幅が狭くなるシルエット。

バギー

ヒップから裾にかけてストンと落ちる太めのシルエット。短丈のトップスと相性が良い。

ブーツカット

文字通りブーツの着用に合わせ、シルエットが裾にかけて広がっていくのが特徴。

2.フライ

パンツの前開き部分であるフライはボタンフライとジッパーフライの2つのデザインが代表的。

ボタンフライ

ジーンズやミリタリーチノなど古着ではお馴染みの前開き。縮みやすい素材によく見られる。

ジップフライ

ドレスからカジュアルまで最も一般的な前開き。考案されたのは1891年なのだとか。

3.ウエスト

ウエスト部分にも様々なディテールが。いずれもスラックスに多く見られるもの。

持ち出し

腰回りのフィット感を向上させるためのディテール。クラシックなスラックスに多い。

マーベルト

パンツの内側のウエスト周りを覆うことで縫い代や裁ち目を隠すためのディテール。

アジャスター

サイドに付くウエストを調整するためのディテール。ベルトループに比べてドレッシー。

4.タック

腰回りに余裕を持たせるためのディテール。その数や方向で印象が変わる。

ワンタック

腰回りに余裕があり、スッキリとしたシルエットながら動きやすさを実現。ビジネススーツに多く見られるデザイン。

ツータック

クラシックなパンツに多く見られるディテール。特にインタックはオールドファッションなスタイルに適している。

ノータック

カジュアルなコットンパンツやデニムなどカジュアルパンツに多い。腰回りのゆとりが少なく、スッキリした印象に。

インタック

内側に向かってタックが入り、スッキリとした印象に。アウトタックよりもドレッシーとされる。

アウトタック

外側に向かってタックが入り、腰回りをゆったりと見せる効果がある。ややカジュアルなディテール。

5.サイドポケット

サイドポケットにもいくつか種類がある。かなりコアな知識だが以下の2つを知っておきたい。

ストレートポケット

真っ直ぐに切れ込みが入ったポケット。座った時に開かないようにわずかなカーブが。

斜めポケット

手を入れやすいように斜めの切り込みが入ったポケット。「スラントポケット」ともいう。

6.玉縁

ポケットの切り口になされたパイピング処理は、知る人ぞ知るポケットのディテール。

片玉縁

パイピング処理が片方のポケット口のみにつく。より摩擦の多い下側につくのがほとんど。

両玉縁

上下両方のポケット口にパイピング処理がなされた、より手間のかかるディテール。

7.クリース

スラックスなどに見られる前身頃と後身頃の中心に入る折り目を指す。「センタークリース」とも呼ばれる。

8.ボトム

パンツの裾の処理によって全体の印象が大きく変わる。TPOや靴との相性を考えて選びたい。

シングル

「プレーン」とも呼ばれる一枚仕立て。フォーマルからカジュアルまで幅広く対応。

ダブル

狩猟中に捲り上げたなど、その起源に諸説あり。折り返す幅によっても印象が変わる。

9.クッション

パンツの裾が靴にどの程度かかるのかはフィッティングにおけるかなり重要なポイントだ。

ノークッション

裾が靴に当たらず、ソックスが見える短めの長さ。すっきりとしたカジュアルな印象を与える。

ハーフクッション

裾が靴の先端部分にわずかにあたり、たわみが出ない長さ。最も汎用性が高いとされている。

ワンクッション

裾が靴の甲にあたり、折り目ができる長さ。ソックスが見えないためビジネスシーンにも対応。

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「2nd 2024年5月号 Vol.204」)

著者:2nd 編集部