ゴルフ場でラウンドする際の乗り物といえば乗用カートが思い浮かびますが、かつてはベルトコンベアを利用することも多かったそうです。

見たことがない人もいるかもしれないが…

 昔のゴルフは歩きのラウンドが定番でしたが、現在はカートに乗り込んでどんなコースも楽々かつスピーディーに回れるようになっています。

高低差の大きいゴルフ場ではかつてベルトコンベアが使われていた 写真:AC
高低差の大きいゴルフ場ではかつてベルトコンベアが使われていた 写真:AC

 しかし、アップダウンの激しいゴルフ場ではかつて、人が乗れるベルトコンベアで移動していたところが多かったそうです。果たして本当なのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。

「コースの途中にベルトコンベアが設置されているゴルフ場は、結構多く存在します。アップダウンが激しいのはもちろんのこと、特定のホール間のインターバルが長くて移動するのが大変であったり、クラブハウスが高台の頂上に建っているために最終ホールとクラブハウスをつないだりと、様々な理由でベルトコンベアを作ってゴルファーへの負担軽減が図られました」

「広い平地にゴルフ場を作るのであれば、ホール同士やクラブハウスを近接して作ることは容易ですが、特に山岳コースなどの場合は土地の制約が多い中で18ホールをはめ込もうとすると、どうしてもいくつかのポイントで大きな高低差や距離の長いインターバルができてしまうことがあります。そのため、ムリやりホールを配置していった結果として生じてしまった難所となる移動区間を、ベルトコンベアで解消しようとしていたのです」

 しかし、近年はゴルフ場でベルトコンベアに乗って移動する機会はなかなかありません。どうしてなのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。

「ここ20〜30年の間で乗用カートがかなりの割合で普及し、性能も向上して多少きつい勾配であってもカートに乗ってしまえば簡単にアップダウンを乗り越えられるようになりました。インターバルが長くてもすぐに移動できるので、ベルトコンベアを利用するゴルフ場は減少傾向にあります」

「ベルトコンベアは、あくまでも歩いてラウンドするのが前提で設置されていたことから、カート移動が当たり前となった現在は少々珍しい存在になっています。しかし、なかには当時のまま残っているところや、乗用カートを利用できないプロのトーナメントで使用している場面もまれに見受けられます」

「また、急な傾斜地に長大なベルトコンベアを設置したぶん、撤去にかかる費用も高額になってしまうので、使用されなくなってもそのままの状態で放置してあるゴルフ場もあるそうです」

ベルトコンベアだけでなくモノレールも?

 なかにはベルトコンベアよりも大掛かりな設備を導入しているところも存在すると飯島氏は話します。

「千葉県の『真名カントリークラブ』や神奈川県の『伊勢原カントリークラブ』などでは、人と一緒にキャディーバッグも積み込めるモノレール型のケーブルカーが活躍しています。ほかにも、埼玉県の『川越グリーンクロス』は、クラブハウスとコースとの間に荒川が流れているため、渡し船に乗って移動するのが名物になっています」

 このように、ベルトコンベアをはじめカート以外の乗り物に乗ってラウンドするゴルフ場は多く、ちょっとしたアトラクション気分も味わうことができます。もしも機会があったら、乗り物目的でプレーしに行くのも楽しいかもしれません。

ピーコックブルー