将棋の第37期竜王戦6組ランキング戦決勝が21日、大阪・関西将棋会館で指され、藤本渚五段が、奨励会員の山下数毅三段に後手番の132手で勝ち、挑戦者決勝トーナメント初進出を決めた。

 昨年度の新人王、最多勝(伊藤匠七段と並ぶ51勝)で勝率も2位(8割5分)だった現役棋士最年少の18歳が、プロ入り資格獲得がかかる15歳の山下を終盤で一気に追い詰めた。藤本は優勝に「うれしいです。注目される対局で結果を出せた」と、多数詰め掛けた報道陣の前で柔らかい表情で語った。

 山下とはこの1年ほど、週1局のペースで対面やネットでのVS(練習将棋)を「何十局と」やってきた仲。「(山下は)終盤力がすごい。自分より上。それを食らわないように」との心構えで臨んだという。決勝でぶつかった運命には「相手が自分じゃなかったら応援していたのですが…」。プロとしてのプライドものぞかせた。

 タイトル初挑戦を目指すトーナメントの抱負は「(6組で)一番下からですが、挑んでいく気持ちで頑張っていきたい。まずは1勝。目の前の1局を」。昨年度の竜王戦は5組Vの伊藤匠七段が挑戦権を獲得した。「伊藤さんだからできたのかな。自分にはまだ難しいと思いますけど…でも、自分ができる精一杯を」。勝利を積み重ねれば、その先には「圧倒的な存在」という藤井聡太竜王が待っている。