左膝手術の影響で育成契約となっていた巨人・立岡宗一郎外野手(34)が、支配下登録選手に復帰することが20日、分かった。21日に発表され、中日戦(東京D)から即1軍に合流する。阿部慎之助監督(45)も期待する俊足と勝負強い打撃が持ち味の“バイプレーヤー”が、連敗中のチームの救世主となる。

 阿部巨人に必要不可欠なピースが、東京Dに帰ってくる。昨年から育成契約だった立岡の支配下復帰が、この日までに決定。21日の中日戦から2年ぶりに1軍の舞台に立つ。

 長い道のりだった。22年は4月9日のヤクルト戦(東京D)でプロ14年目で初のサヨナラアーチを放つなど順調なスタートを切ったが、同6月9日の西武戦(ベルーナD)の9回に打球を追っていた際に中堅の丸と交錯し、左膝前十字じん帯を損傷。同30日に再建手術を受けた。

 1年1か月後となる23年7月の3軍戦で実戦復帰を果たしたが、そこからはトップフォームを取り戻すための日々。50メートル5秒9の俊足を武器としてきただけに「やっぱり走れないと、自分の価値はないと思っているので」と、毎日状態が変わる左膝と相談しながらもがいてきた。その努力が結実し、今季はイースタンで27試合に出場。打率2割5分6厘で4盗塁をマーク。「今はベストタイムに近い数字は出ています」と、足を使った、らしいプレーが随所に見られるようになった。

 阿部監督も大きな期待を寄せてきた。就任直後の昨秋の宮崎キャンプでは、若手中心のメンバーながら当時33歳の立岡を最年長で抜てき。「まだまだ戦力として考えているから連れて行こうと決めた」と話し、誰よりも復活を願ってきた。

 現在、外野は丸が左翼もしくは右翼の一角を務めることが多いが、他は流動的。開幕から1軍だったドラ3の佐々木と、秋広も登録を抹消された。俊足巧打に加え、外野ならどこでも守れる立岡は、十分スタメン候補となる。

 出場すれば、本拠では22年6月5日のロッテ戦以来約2年ぶり。「立岡に任せておけば、このぐらいの結果は出してくれるというものを常に見せていきたい」と話していた34歳が、3連敗中のチームを活性化させる。

 ◆立岡 宗一郎(たておか・そういちろう)1990年5月18日、熊本県生まれ。34歳。鎮西高から2008年ドラフト2位でソフトバンクに入団。12年6月にトレードで巨人入り。同年7月に左肘じん帯を損傷し、患部への負担を考慮して右打ちから左打ちに転向。181センチ、82キロ。右投左打。今季年俸は2200万円(推定)。

 ◆立岡の復帰経過

 ▽22年6月9日 西武戦(ベルーナD)で守備の際に味方と交錯し、左膝前十字じん帯を損傷。

 ▽同30日 同箇所の再建手術を受け成功。

 ▽10月23日 球団から自由契約通知。育成契約を打診される。

 ▽23年7月16日 BC神奈川との独立リーグ交流戦(G球場)で、約1年1か月ぶりに実戦復帰。

 ▽同26日 BC埼玉との独立リーグ交流戦(熊谷)で「3番・左翼」で先発。実戦復帰後初めて守備につく。

 ▽11月1日 宮崎秋季キャンプに最年長の33歳で参加。

 ▽24年4月12日 イースタン・西武戦(カーミニーク)で今季2度目の3安打。