コロナ禍で自宅にいることが増え、間食をとることが増えた方も多いと思います。「また間食をしてしまった」と後悔する人もいるのではないでしょうか。

しかし、間食は悪いことではありません。むしろ、上手く付き合うことで、健康になったり、さらにはダイエットにも効果的だったりします。

実は、私もこの間食を利用して、4ヶ月で24キロのダイエットに成功しました。また、減量前に高かった血圧も下がっていきました。そこで、今回は私も実践した「戦略的間食術」をご紹介します。

「戦略的」といっても、間食するものの選び方や取り入れ方を知るだけで、十分に効果を得ることができます。これを知れば、罪悪感を抱くことなく間食と上手く付き合うことができるでしょう。

間食への考え方を変える

間食をして後悔する方は、むやみにやたらに「間食=食べてはいけないもの」と決めつけ、罪悪感を覚えてストレスをためるということをしているのではないでしょうか。まず、この考えを変えることから始める必要があります。

間食をとるといっても、「適切な間食」と「不適切な間食」があります。

間食の健康を害するのは、砂糖がたっぷりと含まれたものやカロリーの高いスナック菓子をバクバク食べるといった、「不適切な間食」をしている場合が多いです。

これを「適切な間食」にするだけで、以下の3つの効果が期待できます。

空腹による食事でのドカ食いを防ぐ
食後血糖値の急上昇を防ぎ、血糖値が安定する
空腹によるストレスや集中力の低下が防げる

「あれ、意外と『間食』っていいかもしれない」と思えたのではないでしょうか。

それでは、3つの効果を得ることができる「適切な間食」というのはいったいどのようにすればとれるのでしょうか?

間食するものの選び方

「適切な間食」において1番大切なことは、間食で食べるものをどう選ぶかです。

選ぶ際のポイントは3つです。
①ポリフェノール」がたっぷり入ったもの
②太りにくいもの(GI値が低いもの)
③満足感を得られるような、おいしくて、手軽に食べられるあまいもの

以下、1つずつ解説していきます。

間食の選び方①「ポリフェノール」がたっぷり入ったもの

ポリフェノールには、悪玉コレステロールを下げる効果があり、これによって、暴飲暴食やストレスによって弱っている肝臓機能を高めます。

肝臓機能があがると、生命を維持するためにカロリーを消費する基礎代謝があがるので、1日に消費されるカロリー数が増えていき、ダイエット効果へとつながるのです。

また、ポリフェノールには、「酸化を防ぐ力=抗酸化力」を持っているので、体の老化から身を守り、アンチエイジングや生活習慣病の予防にも効果を発揮してくれます。

間食の選び方②太りにくいもの(GI値が低いもの)

太る、太らない食べ物の指標として、ひとつ知ってほしいのがGI値です。GIとは、その食品を食べた後にどれだけ血糖値が上がるかを示した指標であり、その数値が低いと食後の血糖値の上昇が少ないということになります。

食事をとったあとには、すい臓からインスリンというホルモンが出ます。このインスリンには「血糖値を下げる」という重要な役割を担っている一方で、脂肪を作る・脂肪の分解を抑制するという働きもあります。

食後に一気に血糖値が上がってしまうと、このインスリンが必要以上に大量発生してしまい、脂肪を作る、脂肪の分解を抑制するという働きが高まり、肥満へとつながる可能性が出てくるのです。

ですから、食後血糖値を急激に上げない、GI値が低い食品を選んで食べることが、とても大切になります。

間食の選び方③満足感を得られるような、おいしくて、手軽に食べられるあまいもの

糖質制限が一般的になり、「あまいもの=悪いもの」というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、悪いことばかりではありません。むしろ、あまいものを上手く間食に取り入れることが重要だと思っています。

あまいものを食べると、脳では幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが分泌されて、幸福感に満たされます。さらに、ついついあまいものを食べるのは、甘いものには中毒性があるからです。中毒性があるということは裏を返せば、習慣化しやすいということです。

大切なのは健康な間食習慣を続けること。幸福感を満たしてくれ、習慣化しやすい「あまいもの」であることは、とても大切です。

さらにいえば、調理などをさほど必要とせずに食べられることも、継続するためにはとても大切な要素となります。

間食にオススメの食材と取り入れ方

さて、ここまで3つのポイントをお伝えしてきましたが、これらを満たす食材はどれなの?と思った方もいるでしょう。

バナナやリンゴ、イチゴ、グレープフルーツ、ぶどうといったフルーツは、3つのポイントを抑えています。

さらに、これらのフルーツよりもポリフェノール量が多く、手軽に取り入れやすいおすすめの食材が存在します。私が実際に間食にとりいれているのも、この食材です。それは、「高カカオチョコレート」です。

高カカオチョコレートとは、カカオ成分を70%以上含んだチョコレートのことです。もちろん、甘くて美味しく、さらに袋から取り出して食べるだけなので、手軽に取り入れることができます。

ポリフェノールの含有量も驚くべき高さです。商品によって多少の差があるものの、例えば72%のチョコレートで、リンゴの約12倍、バナナの7倍となっています。また、GI値も低く抑えられています。

さらに、高カカオチョコレートをとることで、認知症予防、内臓脂肪を減らす、冷え解消、高血圧予防、糖尿病の改善、動脈硬化予防、便秘解消、集中力・記憶力向上、脳卒中・心筋梗塞予防などの効果も期待できるのです。

ここで、高カカオチョコレートをとる際に、覚えておいてほしいコツが2つあります。このコツを知っているだけで、ただチョコレートをとるだけよりもさらに健康効果を得ることができます。

間食のコツ①「チョコちょこ食べ」

「チョコちょこ食べ」は、簡単にいうと、チョコをちょこっとずつ食べるということです。

ポリフェノールは、体内で蓄積ができず、摂取してから効果が続くのが3~4時間という性質があります。そのため、一度にまとめて食べるのではなく、数時間おきに少量ずつ毎日食べることが大切なのです。

できれば、4~5回に分けて食べるのがよいでしょう。

また、食べる量については、1日25グラムを目安に摂りたいところです。1ピース5gを5回に分けて食べると丁度よい分量になります。

間食のコツ②3食食べる前の「チョコファースト」

野菜に含まれる食物繊維などを先に摂取することで、食後血糖値の上昇を防ぐ、「ベジファースト」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、高カカオチョコレートにも食物繊維はたっぷり含まれるので、同等の効果が期待できます。

ベジファーストは、直前よりも30分以内で、できるだけ時間をあけたほうが効果はあるといわれています。

それにならって、「チョコファースト」も、食前でも構いませんが、食事を作る時や外食に出かける直前など、できるだけ間をあけることを、無理のない範囲で行ってみるとよいでしょう。

このポイント2つを組み合わせて、例えば、下記のようなスケジュールで食べてみるのもオススメです。

【おすすめの「チョコちょこ食べ」習慣】

①朝起きてすぐの「目覚ましチョコ」1ピース

②朝食前に「チョコファースト」1ピース

③昼食前に「チョコファースト」1ピース

④14時〜16時の「ごほうびチョコ」1ピース

⑤夕食前に「チョコファースト」1ピース
(「ごほうびチョコ」を忘れた時は寝る前の「おやすみチョコ」)

なお、ダイエット中の方は、高カカオチョコレートを間食で食べる分、食事でとる炭水化物を抑えてみてください。高カカオチョコレート25gだと、お茶碗半分程度の量です。高カカオチョコレートはカロリーが高くても太りにくいため、これに置き換えるだけでダイエット効果があります。

自分に合った、間食で食べるものの選び方、間食の取り入れ方を実践することで、罪悪感を抱かずに健康的な体になっていきましょう。

※本稿は、『医師が教える最強の間食術』(アスコム)の一部を再編集したものです。