F1第8戦スペインGPのフリー走行3回目は、セッション序盤から雨に見舞われた。トップとなったのは、ドライコンディションでタイムを出したレッドブルのマックス・フェルスタッペンだった。

 60分のセッション開始を前に、ピットレーンにはコースインを待つマシンの長蛇の列ができた。というのも、サーキット周辺には黒い雨雲が浮かび、今にも雨が降り出しそうなコンディションだからだ。

 遠くの空では稲光も見える中、各車が一斉にコースイン。多くのマシンがソフトタイヤを履き、アタックへ出ようと急いだ。

 しかし、ウイリアムズのローガン・サージェントが最終コーナーでクラッシュ。セッションは開始から8分ほどのところで赤旗が掲示され、各車が1度しかタイム計測できていない状態でピットに戻ることになった。

 この頃には、すでに映像で雨粒が確認できるようになっており、スタンドでも傘の花が増えていった。この時点で、トップはフェルスタッペン。1分13秒664を記録し、0.250秒差でチームメイトのセルジオ・ペレスが続いた。

 セッション開始から17分のところで赤旗は解除されたが、雨用のタイヤが使えるほど路面が濡れているわけではなく、各チーム待ちの態勢。しばらくコース上を走るマシンがいない状態が続いた。

 ようやく動きが見られたのは、セッション後半に入ってから。マクラーレンのランド・ノリスがインターミディエイトタイヤでコースインしたが、タイヤが水しぶきを巻き上げることもなく、すぐにピットに戻ってしまった。

 予選・決勝ともにウエットコンディションになる可能性が高い予報となっていることから、各チームはウエットコンディションでの仕上がりを確認しておきたいところ。だが、雨用タイヤのセット数は限られており、動くに動けない状況が続いた。

 残り20分というところでフェラーリの2台がコースインし、周回を開始。カルロス・サインツJr.はフェルスタッペンのドライでのタイムから12秒ほど遅れるタイムだった。

 これを皮切りに、徐々に走行を再開するマシンが増加。インターミディエイトタイヤの感触を確かめた。だが、わずか数周でタイヤが終わったと無線で訴えるドライバーもいた。

 インターミディエイトで1分24秒台のタイムで走るマシンも多く、スリックタイヤでも走れるコンディションだと見たか、ノリスはいち早くソフトタイヤに履き替えてコースイン。1分21秒621で1周を走りきった。

 これを見て、ソフトタイヤで走るマシンも増えていった。マシンから降りていたハミルトンも、スリックタイヤで走れるならばとマシンに乗り込んだ。

 各車のタイムも上がっていき、アルファタウリのニック・デ・フリーズはセッション終了直前に1分15秒765をマーク。ドライコンディションでの自身のタイムから約1秒落ちというところまでコンディションは回復した。

 しかし結局、フェルスタッペンがセッション最序盤に記録したタイムでトップとなった。2番手はペレス、3番手にハミルトンが続いた。アルファタウリは角田裕毅が9番手。デ・フリーズは12番手だった。

 ウエットコンディションでの走行も十分には行なわれず、実に微妙なコンディションとなったこともあって、予選に向けて各車の仕上がりは全く見えない結果となった。

 予選ではコンディションやコース上のトラフィックにうまく対処し、ラップをまとめることが重要となってきそうだ。