日本で初めてとなる公道を使った世界選手権レースということで、大きな注目を集めていたフォーミュラ東京E-Prix。当日は多くの関係者が現地を訪れ、歴史的瞬間を見届けたが、衆議院議員の山本左近もそのひとりだった。

 山本と言えば、政治の世界に足を踏み入れるまではレーシングドライバーとして活躍。F1への参戦経験もあるほか、フォーミュラEにも発足初年度の2014-2015シーズンにアムリン・アグリからスポット参戦した。

 フォーミュラEに実際に参戦しただけではなく、2015年に六本木で行なわれたフォーミュラE車両のデモランでも、ドライバーとして日本の公道を走った経験がある山本。あれから10年近くが経ち、ついに日本の公道を使ってのフォーミュラEレースが実現した形だが、山本は非常に感慨深い出来事だと話す。

「日本で初めてのフォーミュラE開催に至るまでに、私もレースに出ただけでなく、2015年の夏に六本木で車両を走らせたりと、様々な活動をしてきました。それからの約10年を考えると非常に感慨深いですし、今日の大会が成功に終わったことを嬉しく思います」

「お客さんの中にも『フォーミュラEってどんなものだろう?』と分からない方もいらっしゃったと思いますが、今日は楽しんでいただいたと思います。フォーミュラEはエンジン音がしない、そして排気ガスを出さないからこそ、市街地でできているわけです。そういったアクセスの良さや、エンジン車のレースとは違う迫力、バトルの在り方を楽しんでいただき、理解いただけたと思うので、これは次に繋がっていくと思います」

 またレーシングドライバーという視点で、今回のレースやコースレイアウトはどう映ったのか?

「コースは非常にツイスティだと思います。ドライバーとしては、誰かの後ろを走っている時は非常にストレス、フラストレーションが溜まるレイアウトになっているところはあります。ただオーバーテイクを仕掛けるリスクをどれだけ取りにいけるのか、そういった攻防があったレースだったと思うので、狭く抜きにくい中でもバトルがあって、皆さん楽しめたんじゃないかと思います」

「最後に、ポールを獲った日産(オリバー・ローランド)がかなり仕掛けていった時はすごく盛り上がっていましたよね。あれはエネルギーマネジメントなども考えながら狙っていたのだと思いますが、そういったところがわかってくると、もっともっと良くなっていきます。まずはそのファーストステップとして、非常に良いイベントになったと思います」 

「狭い市街地であれだけ跳ねるクルマをドライバーたちがコントロールしながら、なおかつ各車が数珠繋ぎで1メートルもないような間隔でレースをやっているということ……そういったことも、今回間近で見ていただいたことでよりリアルに感じていただけたと思います」

 そして今回の東京E-Prixは、内閣総理大臣の岸田文雄首相が来場したことも大きな話題となった。岸田首相は2022年のF1日本GPも訪問しており、これは政府が日本のモータースポーツに関心を向けていることの表れとも言えるかもしれない。

 山本も岸田首相とコミュニケーションをとる中で、岸田首相がフォーミュラEに関心を持っていることを感じられたようだ。

「総理に、初開催のフォーミュラEにお越しいただいたことは私としてもありがたいことですし、日本としても、モータースポーツがこれまで以上にスポーツとして認識されていることの証明にも繋がります」

「総理ともお話しさせていただきましたが、こういった市街地でのレースはどういうものなのか、非常に興味を持っていただいていたので、視察いただいたことは有意義だったと思います」

「今回は電気の自動車レースということで『どういうレースなのか想像がつかないんだよね』とおっしゃっていました。これはとてもワクワクされていたことの裏返しだと思っていますし、モータースポーツを総理に見ていただけるというのはとてもありがたい機会でした」