4月13日、岡山国際サーキットでスーパーGT開幕戦の公式予選が行なわれた。新方式となって初めての予選でポールポジションを獲得したのは、GT500クラスが36号車au TOM'S GR Supra(坪井翔/山下健太)、GT300クラスが65号車LEON PYRAMID AMG(篠原拓朗/蒲生尚弥)だった。

 今シーズンからスーパーGTでは、予選方式が改められた。レギュレーションでタイヤの持ち込みセット数が削減され(300kmレースは4セット)、予選Q1、Q2、決勝ファーストスティントを同じタイヤで走ることが義務付けられたのに伴い、予選はQ1の上位タイム車両がQ2に進んでポールを争うノックアウト方式ではなく、全車がQ1とQ2を走り、その合算タイムで順位を決める方式に変更された。

 レースウィークの岡山は汗ばむ陽気で、14時にスタートした予選は路面温度43℃というコンディション。各タイヤメーカーが持ち込んだタイヤがこの高温なコンディションに合わせ込めるかも注目ポイントと言えた。

■GT500クラス

 GT500のQ1では、次々トップタイムが更新される目まぐるしいセッションとなった。まずは公式練習でも最速だった36号車au TOM'S GR Supraの山下健太が1分17秒813でトップに立ったが、それを38号車KeePer CERUMO GR Supraの大湯都史樹が1分17秒649で更新。しかしさらにそれを上回ったのが23号車MOTUL AUTECH Zの千代勝正で、タイムは1分17秒489だった。これで23号車がトップでQ1を終えることとなり、ポール獲得に一歩前進した。

 Q1のトップ5は23号車NISMO、38号車CERUMO、14号車ENEOS X PRIME GR Supra、39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra、36号車au TOM'Sという順に。今回はデビューレースとなるホンダのシビック・タイプR-GT勢は、100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTの6番手が最上位だった。

 また、8号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTの松下信治もセクター1、セクター2はかなりの好タイムで周回していたものの、最終セクションでコース外にタイヤを落としてしまいタイムロス。しかもここで記録したベストタイムはトラックリミット違反により抹消され、8号車のQ1持ちタイムは1分31秒634に。これはQ1上位陣の107%には到底及ばないタイムであり、レギュレーションに則れば8号車は決勝ピットスタートとなる。まさに痛恨のミスとなってしまった。

 Q2もQ1同様、目まぐるしくトップタイムが入れ替わるような展開となった。まずは3号車Niterra MOTUL Z、23号車NISMO、12号車MARELLI IMPUL Zの日産勢が上位にいたが、トヨタ・スープラ勢が続々とタイムを更新。特に36号車au TOM'Sの坪井が他を大きく引き離す1分17秒748という好タイムを出し、合算タイムでのポールポジションを手中に収めた。テストから好調のディフェンディングチャンピオンが、開幕戦を堂々最前列からスタートする。

 2番手に入ったのは39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra。3番手には100号車STANLEYが入り、シビック最上位となった。4番手、5番手には38号車CERUMO、14号車ENEOSとこれまたスープラ勢が続き、Q1最速だった23号車NISMOはQ2でタイムが上がらず、日産最上位ながら6番手に終わった。

■GT300クラス

 GT500よりも複雑な予選方式となるGT300クラスはQ1、Q2共に組み分けがなされるため、まずは13台からなるQ1 A組からスタート。ここで上位8台に入ったマシンが、ポールポジションの権利があるQ2グループ1(アッパー16=Q1タイム上位組)に回り、9番手以下の5台が、下位グリッドを決めるQ2グループ2(ロワー17=Q1タイム下位組)に回ることになる。

 A組で速さを見せたのは、練習走行でトップタイムだった61号車SUBARU BRZ R&D SPORT。山内英輝が1分25秒862で最速タイムであった。路面状況の改善を考えれば、この後のB組でタイムを出した車両の方が合算タイムという面で有利と考えられるが、山内は同組2番手以下に対して0.396秒以上の差をつけ、ポール獲得に向け弾みをつけた。2番手は45号車PONOS FERRARI 296、3番手は前年王者の52号車Green Brave GR Supra GTだった。

 トラブルで未出走となった777号車D'station Vantage GT3を除く12台で争われたB組は、2号車muta Racing GR86 GTがトップだった。興味深いのは、2号車の平良響が2回連続のアタックを敢行した点だ。平良は1回目のアタックで1分26秒118だったが、2回目で1分25秒985にタイムを伸ばした。ここで使ったタイヤをQ2を走る堤優威に引き継ぐため、できる限りタイヤを温存したいところだろうが、平良はQ1の“持ちタイム”をできるだけ縮めることを選んだ形だ。

 その他、同組で2号車に次ぐタイムを出したのは65号車LEON PYRAMID AMG、7号車Studie BMW M4だった。

 Q2はまず下位グリッドを決める“ロワー17”のセッションからスタートした。ここで最速タイムだったのは9号車PACIFIC ぶいすぽっ NAC AMGの冨林勇佑。これで合算タイムでロワー17のトップになったが、彼らはこれで17番グリッドが確定したわけではなく、ロワー17の上位4台、“アッパー16”の下位4台の計8台が合算タイム順に並び替えられることになる。つまり9号車はこの状況下では最高で13番グリッドを手にするチャンスがあるということになった。

 ポールポジションを決するQ2のアッパー16では、61号車SUBARU、2号車muta、65号車65号車LEONによる三つ巴の争いとなった。この戦いは、蒲生尚弥がQ2最速の1分26秒016をマークした65号車に軍配。新方式での記念すべき最初のポールシッターとなった。なお“ポールポジション”の称号はQ1担当の篠原拓朗含め2名に与えられ、付与されるドライバーズポイントは従来の1ポイントから3ポイントに増やされた。

 2番手は2号車muta、3番手は61号車SUBARU。いずれも65号車LEONがピットに戻った後に何度もアタックしたが、周回を重ねたタイヤでは65号車を脅かすほどのタイムは出すことができなかった。

 なお、ロワー17の上位4台、アッパー16の下位4台のタイムを比較すると、合算タイムが最も速いのは9号車PACIFICで、13番グリッドを手にした。これも新方式ならではの出来事と言える。