休息日明けの第10ステージはポンペイからクザーノ・ムトリまで142km、オラフ・コーイ(ヴィスマ・リースアバイク)ら4人の選手が未出走。オフィシャルスタートが切られると、クインテン・ヘルマンス(アルペシン・ドゥクーニンク)とサイモン・クラーク(イスラエル・プレミアテック)の2選手が飛び出し、アレッサンドロ・デマルキ(ジェイコ・アルウラー)が合流、集団からはブリッジをかける動きが続くが、抜け出すに至らない。フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ)やエドアルド・アッフィニ(ヴィスマ・リースアバイク)たちのグループも集団に飲み込まれていった。

中間スプリントポイントはデマルキが先頭通過、無印峠で集団から飛び出したグループが人数を27人まで増やし下りで40秒のタイム差をつけることに成功。ジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ)、ロマン・バルデ(dsmフィルメニッヒ・ポストNL)、シモーネ・ヴェラスコ(アスタナカザクスタン)、フアン・ロペス(リドル・トレック)、シモン・ゲシュケ(コフィディス)、エステバン・チャベス(EFエデュケーション・イージーポスト)など有力選手が含まれている。2級山岳の上りでクラークとデマルキを吸収し、UAEチームエミレーツが牽引するメイン集団とは3分半のタイム差がついていた。山岳ポイントはゲシュケが先頭通過。

ダウンヒルをこなし、インテルジロ手前でロングアタックをしたフィリッポ・フィオレッリ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)が先頭通過、フィオレッリについて行ったヤン・トラトニク(ヴィスマ・リースアバイク)はそのままペダルを踏み続け独走を開始、すかさず追いかけたのはヴァランタン・パレパントル(デカトロン・AG2Rラモンディアル)、マルコ・フリーゴ(イスラエル・プレミアテック)、アンドレア・バジオーリ(リドル・トレック)、バルデの4選手のみ。

最終1級山岳ボッカ・デッラ・セルヴァへトラトニクが登坂開始、追走は35秒後方、イネオス・グレナディアーズがペースをあげ始めたメイン集団は5分13秒後方に位置する。トラトニクは快調にペダルを回し続け残り距離を減らし続ける、追走は最初にフリーゴが遅れ、次にバジオーリが置き去りとなった。残り距離3.1kmでパレパントルがバルデを突き放し、トラトニクを追い抜き単騎で山頂を目指す。メイン集団ではバーレーン・ヴィクトリアスがアントニオ・ティベーリのためにハイペースを刻みマリア・ビアンカ着用のキアン・アイデブルックス(ヴィスマ・リースアバイク)にダメージを与えている。

パレパントルはそのまま後続に30秒のタイム差をつけて独走勝利、プロ初勝利がジロ・デ・イタリアという大舞台での快挙となった。兄のオレリアンはガッツポーズしながら1分25秒遅れ5位でフィニッシュ、昨年のジロ・デ・イタリア第4ステージで区間優勝を飾り、その1年後に区間優勝を果たした5歳年下の弟を祝福している。マリアローザ・グループは3分14秒後に集団フィニッシュ、ティベーリがアイデブルックスに対し9秒稼ぐことに成功している。

「今の気持ちは言葉では言い表せられない、ツール・ド・フランスの表彰台で争うバルデの姿を見てプロサイクリストになる夢を持った、その彼に勝てたなんて信じられない」V・パレパントル、ステージ勝利後インタビュー

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【ハイライト】ジロ・デ・イタリア 第10ステージ|Cycle*2024

ステージ順位
1 ヴァランタン・パレパントル(フランス/デカトロン・AG2Rラモンディアル)in 3h 43' 50''
2 ロマン・バルデ(フランス/dsmフィルメニッヒ・ポストNL)+ 00' 30''
3 ヤン・トラトニク(スロベニア/ヴィスマ・リースアバイク)+ 01' 00''
4 アンドレア・バジオーリ(イタリア/リドル・トレック)+ 01' 17''
5 オレリアン・パレパントル(フランス/デカトロン・AG2Rラモンディアル)+ 01' 24''
6 シモン・ゲシュケ(ドイツ/コフィディス),,
7 フィリッポ・ザナ(イタリア/ジェイコ・アルウラー),,
8 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア/VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ),,
9 ニコラ・コンチ(イタリア/アルペシン・ドゥクーニンク)+ 01' 41''
10 エステバン・チャベス(コロンビア/EFエデュケーション・イージーポスト)+ 01' 56''

個人総合順位
1 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ)in 36h 46' 08''
2 ダニエル・マルティネス(コロンビア/ボーラ・ハンスグローエ)+ 02' 40''
3 ゲラント・トーマス(イギリス/イネオス・グレナディアーズ)+ 02' 58''
4 ベン・オコーナー(オーストラリア/デカトロン・AG2Rラモンディアル)+ 03' 39''
5 キアン・アイデブルックス(ベルギー/ヴィスマ・リースアバイク)+ 04' 15''
6 アントニオ・ティベーリ(イタリア/バーレーン・ヴィクトリアス)+ 04' 27''
7 ロマン・バルデ(フランス/dsmフィルメニッヒ・ポストNL)+ 04' 57''
8 ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア/アスタナカザクスタン)+ 05' 19''
9 フィリッポ・ザナ(イタリア/ジェイコ・アルウラー)+ 05' 23''
10 エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア/モビスター)+ 05' 28''

ポイント賞
1 ジョナサン・ミラン(イタリア/リドル・トレック)174 Pts
2 カーデン・グローブス(オーストラリア/アルペシン・ドゥクーニンク)122Pts
3 ティム・メルリール(ベルギー/スーダル・クイックステップ)100 Pts

山岳賞
1 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ)104 Pts
2 シモン・ゲシュケ(ドイツ/コフィディス)58 Pts
3 ヴァランタン・パレパントル(フランス/デカトロン・AG2Rラモンディアル)55 Pts

ヤングライダー賞
1 キアン・アイデブルックス(ベルギー/ヴィスマ・リースアバイク)in 36h 50' 23''
2 アントニオ・ティベーリ(イタリア/バーレーン・ヴィクトリアス)+ 00' 12''
3 フィリッポ・ザナ(イタリア/ジェイコ・アルウラー)+ 01' 08'

チーム総合順位
1 デカトロン・AG2Rラモンディアル(フランス)in 110h 32' 27''
2 イネオス・グレナディアーズ(イギリス)+ 07' 07''
3 ボーラ・ハンスグローエ (ドイツ)+ 20' 31''

リタイア
109 イーサン・ヴァーノン(イギリス/イスラエル・プレミアテック)
34 マックス・カンター(ドイツ/アスタナカザクスタン)
174 オラフ・コーイ(オランダ/ヴィスマ・リースアバイク)
186 マリウス・マイヤーホーファー(ドイツ/チューダープロサイクリングチーム)

5月15日(水) 第11ステージ
フォイアーノ・ディ・ヴァル・フォルトレ>フランカヴィッラ・アル・マーレ
207 km(平坦 ★★☆☆☆/獲得標高 1850 m)
足首部分を横切りアドリア海へ、海岸線を突き進む

3週間の戦いは、早くも折り返し地点に達した。大急ぎでイタリア半島を南下してきたプロトンは、いわゆる足首部分を横切ると、ここからいよいよ北上を始める。

200kmを超える長いステージの、前半は、いまだ起伏に満ちている。ただアペニン山脈の南端のうねりは大らかで、等級の付いた山岳は3級峠ひとつだけ。しかも65km地点を過ぎると道はほぼ下り基調。コース半ばでアドリア海側へ出ると、ついに道は平坦になる。

終盤の約90kmはひたすらフラットな海岸線を突き進む。直線の多い道で、各チームが隊列を組み上げるはずだ。


最終盤は、総合系チームも含めて、ナーバスな場所取りが巻き起こるに違いない。フランカヴィッラ・アル・マーレに入り、ラスト4kmを切った直後に、ロータリーを利用した2つの直角コーナーが待ち受けるからだ。しかも2つのコーナーの間で、線路の下をくぐり抜ける際に、一瞬、道幅が細くなる。

ここを上手く抜け出せたら、残す3.5kmは一直線。パワフルなスプリント勝負に期待したい。

ステージ詳細テキスト:宮本あさか