首都高の大渋滞ポイント「池尻〜三軒茶屋」で、改良事業が進められています。一体どう改良され、完成すればどう便利になるのでしょうか。

「逆転の発想」で混雑緩和図る

 首都高の中でも特に渋滞のひどい地点のひとつが、3号渋谷線とC2中央環状線が接続する「大橋JCT」と、その周辺である池尻〜三軒茶屋です。
 
 渋滞を緩和するため、この区間を改良する事業が進められていますが、一体どのように改良され、完成すればどう便利になるのでしょうか。

 この区間の渋滞は、複数の要因が組み合わさって起きています。

 まず都心方面は、三軒茶屋入口と池尻出口がほとんど離れていないことから、流入車と流出車が交錯してスピード低下を生んでいます。逆に用賀方面は、池尻入口の先で上り勾配になっていて、ドライバーは気づかずスピードが落ちてしまい、後ろが詰まってしまう現象です。さらに池尻入口・大橋JCTからの合流も拍車をかけています。

 これらの課題を解決するため、2016年に「池尻・三軒茶屋出入口付近更新・付加車線増設」が事業認可。2027年度の完成をめどに進められています。

 工事の中身ですが、まず都心方面は池尻出口を奥へずらし、三軒茶屋入口の流入車と交錯しないようにします。用賀方面は、池尻入口を「上り勾配の先」へずらすことで、スピード低下で流れが詰まる影響を受けないようにします。

 要するに、池尻出口と池尻入口の位置を入れ替えるというものです。もともと首都高が大規模リニューアルプロジェクトが各地で進められており、渋谷線でも橋桁のコンクリート床版を打ち換えるという大規模な工事が控えています。「丸ごと作り直す」レベルの大工事なら、ついでに最適な形に作り変えようというわけです。

 出入口の移設は、湾岸線の臨海副都心出入口や、埼玉大宮線の与野出入口などでも行われましたが、これらは道路新設などに伴う対応。「渋滞緩和が主目的」で移設するのは異例のことと言えます。

 気になる進捗ですが、まずは基礎部分の補強工事からおこなうこととなります。この基礎というのは、直下を走る東急田園都市線のトンネル構造物そのもの。どちらも1964年の東京オリンピックに際して同時進行で進んだプロジェクトのため、一体で建設されたのです。

 現時点で、まだ地上で目に見える工事は始まっていません。東急側で行われているトンネル兼基礎の補強工事が完了すれば、いよいよ3号渋谷線でも車線規制が始まっていくこととなります。