首都高には7号小松川線や9号深川線などがありますが、8号線はどこを探しても見つかりません。一体どこにあるのでしょうか。

地図に無い謎の首都高路線

 首都高の主要路線には番号やアルファベットが付いていて、1号羽田線、2号目黒線、3号渋谷線…とつづき、都心環状線なら「C1」などとなっています。
 
 そのなかで、「8号」という番号が振られた路線は、地図上を探しても見つかりません。
 
 なぜこの番号は欠けているのでしょうか。

 実は「首都高8号線」は確かに存在します。しかし、あまりにも路線延長が短いため、地図に記載する意味もなく、その存在を省略されているだけというのが、実情なのです。

 その8号線の場所は、都心環状線の京橋JCTから西へ分岐し、すぐ先の白魚橋料金所まで。延長にしてわずか100mほどしかありません。

 一般人の認識では、ここは東京高速道路、通称「KK線」という路線でしょう。京橋から西へぐるっと回り、西銀座を経て汐留で都心環状線に合流するルートです。

 東京高速道路は首都高とは別の管理運営主体です。KK線は「通行料0円」という異色の道路で、主に高架下テナントの賃料で維持費等をまかなっている特殊な運営形態となっています。

「首都高8号線」という部分は、KK線が整備・運営を担当する区間までの「つなぎ目」として首都高が整備・運営しているために、一応の「単独路線」として扱われているというわけです。もちろん、日常会話などでは「京橋からKK線が分岐している」という扱いが一般的でしょう。

 ちなみに、道路を整備するにあたって土地の利用方法を制限する「都市計画」では、KK線も含めて京橋〜西銀座〜汐留が「都市高速道路第8号線」として扱われています。もっとも、当初はKK線区間を丸ごと首都高が整備・運営する計画もあったといいます。

 標識すら無く、存在をほとんど認知されていない「首都高8号線」ですが、近いうちに消滅することになります。八重洲〜京橋をつなぐ新たな地下新ルート「新京橋連結路」の整備がスタートしたからです。

 KK線は、八重洲線から直通して汐留へつなぐ「都心環状線バイパス」の役割も担っていました。江戸橋JCT経由の都心環状線は、箱崎方面との交通集中で大渋滞ポイントとなっているからです。しかしKK線は大型車通行禁止で、新橋の直角カーブなど安全面も課題になっていました。

 そこで、八重洲線から都心環状線へスイッチするルートを取り、江戸橋JCTランプを廃止して、「神田〜汐留ルートを一本化する」のが、新京橋連結路です。

 それに合わせて、KK線、そして8号線は廃止。高架道路の跡地は、緑道として整備される計画です。

 8号線の廃止は、新京橋連結路の開通にあわせておこなわれ、その開通めどは2035年度とされています。誰にも名前を呼ばれることのない首都高路線は、あと10年ほどでひっそりと姿を消していきます。