週末や長期休暇で発生する高速道路の「渋滞」は避けて通れないものです。本線料金所などの滞りを少しでもスムーズに動くためには、渋滞の「法則」を知っておくと良いといいます。どういうことでしょうか。

高速の渋滞には「法則」があった

 ゴールデンウイークなどの長期休暇中、高速道路を利用する際の悩みのひとつが「渋滞」。特に本線料金所では長い車列ができることも少なくなく、どのレーンを選べばもっとも早く通過できるか、できれば知っておきたいものです。
 
 渋滞学を研究する大学教授によると、意外な車線がもっとも早く通過できるそうです。

 東京大学大学院 工学系研究科 教授の西成 活裕氏によると、交通における渋滞を考える際に重要なことは、「流量」と「密度」だそう。“流量”とはクルマの総走行台数のことで、“密度”とは単位距離にいるクルマの台数を表しており、流量と密度のバランスが崩れると渋滞が発生するといいます。

 たとえば渋滞時には、ドライバーはできるかぎり早く通行するために追い越し車線を通行しがちです。

 しかし、みなが追い越し車線を通行することで密度が高まり、その結果、左側の走行車線よりも追い越し車線のほうが、渋滞がひどくなる傾向があるといいます。

 左側車線のほうが車速が低いクルマが多く、また合流や出口もあることで流れが悪いイメージがありますが、交通量が多いときには密度が高まることで流れが悪くなり、渋滞が発生しやすい(もしくは渋滞がひどく進みが悪い)傾向にあるそうなのです。

 本線上にある料金所にも同様のことがいえます。

 たとえば、料金所手前は2車線であっても、本線料金所ゲートは4つ、5つと複数用意されていることが多いです。

 この場合、そのまままっすぐ通行できる車線にクルマは集中しがちなので、両サイドのゲートを選んだほうが早くなる傾向があり、まさに「急がば回れ」というわけです。

 また本線料金所の渋滞では、大型トラックや高速バスなどが並んでいる列は、視界も悪くなるためにどうしても避けがちですが、こうした大型車は1台で普通乗用車2台や場合によっては3台ぶんもの長さがあります。

 単純に車列の長さが同じだとすれば、その長さの間にいるクルマの台数としては少なくなるため進みが早く、また料金所通過後の合流においても、1台ずつ合流していくシーンでは早く通過できる可能性が高いことが考えられます。

 西成教授の「密度と流量」の関係性と理屈は同じです。

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 渋滞は、クルマが密集したところで発生します。交通量が増えると、追い越し車線と走行車線のクルマの量の比率は、6:4くらいの比率で追い越し車線にクルマが集まるようになるといいます。

 通行するクルマが多くなってきたら走行車線側を通行し、本線料金所では「急がば回れ」の精神で遠くのゲートを選ぶのが、渋滞中の道路を賢く通行するためのコツのようです。