「スウィングの女王」とよばれる人気歌手のヒロインが、やがて戦後を代表するスター歌手となる波瀾万丈な人生を描く連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK朝ドラ)。1月20日の放送では、「ワテはワテだす」と題する第16週(1月15日〜19日放送)を振りかえる。

■ 喜劇王・タナケンから共演女優のオファーが届く

ヒロイン・スズ子(趣里)が自身の楽団を解散してから3カ月。恋人の愛助(水上恒司)は大学を卒業し、「村山興業」で宣伝部の社員として働き始める。ある日、マネージャーの山下(近藤芳正)がある依頼を持ってスズ子のもとを訪れる。日本を代表する喜劇役者で、「喜劇王・タナケン」とよばれる棚橋健二(生瀬勝久)が、自身が演出主演する舞台の共演女優を探しており、スズ子と会いたがっているという。

はじめは女優は畑違いだと断るスズ子だったが、一度タナケンと会うことに。ところが、当のタナケン本人は眉間に皺を寄せたまま、「私はあなたをすき好んで呼んだわけじゃない」「ある人に勧められただけ」と言い放つ。タナケンのそっけない態度に怒りを覚えるスズ子だったが、山下とスズ子を推薦した作曲家・羽鳥(草彅剛)の強い後押しもあり、舞台への出演が決まるのだった。

■ 米兵と腕を組んで歩く小夜を目撃

舞台に気が乗らないスズ子だったが、タナケンとの共演を知った愛助は興奮して喜ぶ。そんななか、スズ子の大阪時代からの仲間である秋山(伊原六花)が上京してくる。秋山から仲間の近況を聞き、自身も喜劇王・タナケンと共演することを報告するスズ子。秋山と別れた矢先、スズ子は突然付き人を辞めて姿を消した小夜(富田望生)が米兵と腕を組んで歩く姿を目撃する。

小夜のことを気がかりに思いながら、タナケンとの初稽古に挑むスズ子だが、周囲から「歌手の演技には期待していない」と言われ落ち込んでしまう。その帰り道、スズ子は、小夜が米兵・サム(ジャック・ケネディ)と歩く姿を再び見かける。心配して思わず声をかけるスズ子だったが、小夜はサムを恋人だと主張し、その場を去るのだった。

■ 小夜とサムの恋の行方、そして訪れる別れ

その後も舞台稽古を続けるスズ子だったが、演技になかなか手応えを感じられずにいた。さらに、タナケンにアドバイスを求めても、相変わらず何も言うことはないと言われてしまう。そんなある日、スズ子の家に、元付き人の小夜が泣きながら訪ねてくる。恋人のサムに捨てられたのだと号泣する小夜の話を聞くと、スズ子はアメリカ兵を探しに家を飛び出していく。

サムのもとに突撃するスズ子だが、間に入った愛助の仲介のおかげで、「捨てられた」というのは小夜の勘違いであることが判明。さらにはサムが小夜にプロポーズをし、アメリカに着いてきてほしいと頼んだことを知る。誤解はとけたものの、小夜を家族のように思うスズ子は、「信用できへんわ」「小夜ちゃん取られるの、悔しい」と、複雑な思いを抱く。2人の結婚に反対していたスズ子だったが、その後改めて小夜の決意とサムの思いに触れ、2人を応援することを決めるのだった。

■「僕が全部受けてあげるよ」喜劇王の言葉を胸に、いざ本番へ

一方、タナケンとの舞台に悩み続けるスズ子は、作曲家・羽鳥(草彅剛)に相談したところ、「少しくらいならリズムがずれても面白いだろ」というアドバイスからヒントを得る。羽鳥の助言と、小夜の「堂々としててください」という言葉を思い出したスズ子は、思い切って素の自分に近い大阪弁でセリフを口にする。

すると、これまでどれだけスズ子が演技を披露しても相手にすることはなかったタナケンから、「面白いね」と評価される。そして、自分の芝居に対して意見を求めるスズ子に、タナケンは「何をやっても僕が全部受けてあげるよ」と話すのだった。

そして、いよいよ喜劇『舞台よ!踊れ!』の幕が上がる。タナケンの胸を借りて舞台に挑んだスズ子は、自分らしく大阪弁で芝居に挑み、羽鳥善一(草彅剛)の新曲「コペカチータ」も見事に歌い上げる。舞台は大好評で、タナケンとスズ子のコンビは話題となる。小夜との別れを経験し、舞台人としても新しい扉を開いたスズ子だったが、その矢先に大阪から「村山興業」の社長・トミ(小雪)の使いがやってきて・・・。

本作は、戦後「ブギの女王」として一世を風靡した歌手・笠置シヅ子さんをモデルに、歌の才能を開花させて上京したヒロインが、昭和を代表するスター歌手として激動の時代を生き抜いていく物語。土曜日はその週の振りかえり。