お客様が求める接客は昔に比べて変化しています。無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが今回語るのは、「いかに自分のことを知らないか」を店選びのポイントにしているお客様のお話です。
深化か進化か百貨店の時代はお客様が、「いかに自分のことを理解しているか」を販売員に求めていました。
今も百貨店をはじめ一部のお客様にはそういう方もいらっしゃいますが、だいぶこの感覚は変わってきているなと店に行く度に思います。
今ってむしろ、「いかに自分のことを知られないか」が店選びのポイントになっていることが増えていると感じるのです。
言うまでもなくお客様による話ですが、たとえば接客の中でも、
・商品を購入する判断材料は欲しい
・だけど自分をさらけ出すのはしたくない
という感じのお客様多くないですか?
年代でも影響はあると感じますが、ニーズヒアリングをしようと思っても、過去と比べるとあまり自分自身のことを話したがる人は多くありません。
自分が買うか買わないかを決めるための判断材料は求めているけれど、自分のことを知られる(顔を知られるなども含めて)こと自体はそこまでしたくないというイメージです。
僕はどちらかというと友達感覚でお客様と仲良くなってしまいがちなので、自分自身がそう感じる機会は少ないですが、店頭に立って周りのスタッフを見ているとそんな接客になっていることは多いのです。
これは技術や経験云々とかよりも、販売員やお客様のタイプによるところが大きい気もします。
この前提に立つと、店のあり方/販売員のあり方についても考えることが出てきます。
1対1の接客が主体となるようなやり方より、1対nのように不特定多数のお客様に関わる商品紹介ができた方が、お客様は自分のことは明かさずに、でも買うか買わないかの判断材料はしやすい。
だから、インスタライブをはじめとした商品紹介の需要は大きいわけです。
だとすると、店頭では今後どんな接客が求められていくのか。
これはある程度、二分されていくように思います。
これまで同様に、お客様のニーズを含めたパーソナリティを理解していくことでより良い提案をする接客。
僕はあくまで自分の好みとしてはこのタイプの接客が好きですが、こうした接客の質が高い販売員の需要は間違いなく途切れません。
ある程度の単価を超える商材販売では、今後も確実に求められる接客です。
一方で、お客様に深入りせずにやる接客というのも需要はどんどん高まっています。
この場合、いわゆるヒアリング的なことはあまりしない方が是とされやすくなり、お客様自身が判断しやすい材料をどれだけ提供できるかが鍵になるでしょう。
すると商品のことをどれだけ価値高く語れるか(伝えられるか)がポイントになってくるのですが、ご存知のようにタイムパフォーマンスが求められる傾向にもあります。
つまり、価値を伝えることに時間をかける余裕もニーズも減っているということです。
となれば、どうするかを考えなければなりません。
選択肢はいくつかあって、
・お客様の様子からニーズを掴み、ニーズに対する商品価値を伝える
→観察眼や”察する能力”が求められる
・総合的に買いやすい判断材料を提供する
→商品が売れるポイントを明確に押さえ、早くわかりやすく伝える
・そもそも違う手段で価値を伝える
→事前の情報発信を含め、お客様自身で情報を受信できるようにする
・まったく違う手法を生み出す
→お客様の求めることに合わせて、これまでにはない手法で販売をする
などなどがパッと思いつきますよね。
いずれにしても、『接客』と『販売』の違いがある程度切り分けられるようになっているような印象を受けます。
接客手法というよりも、販売手法をイメージしておかないとポイントはズレていく感覚です。
今の時点で答えを出さなくても、ある程度は売れるでしょう。
ただ今後ますますお客様の傾向は変わり、商売のスタイルによっては、これまで通りの接客スタイルを深化させてもニーズに合わない可能性は高くなります。
深化よりも進化が求められているのです。
今回の二分したニーズだけではないと思いますが、自分たちの立ち位置を改めて見直して、どうしていくべきかを真剣に考えておきたいところですね。
あなたはどのように感じているでしょうか?
今日の質問&トレーニングです。
1)自店に来店されているお客様は、本当に今の自分たちのスタイルを望んでいますか?
2)3年後・5年後を考えた時に、自分たちはどのようなスタイルを目指して仕事をしていくべきでしょうか?
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