4月5日から4月7日までの全国映画動員ランキングが発表。全国的に中高生の春休み最後の週末となった今週も、『変な家』(公開中)の勢いはまったく衰え知らず。4週連続でNo. 1を飾り、見事に2024年の春休み期間をトップのまま走り抜いた。

■『変な家』の快進撃はどこまで続く!?次週には強力なライバルが公開

『変な家』の公開4週目の週末3日間成績は、観客動員28万9000人、興行収入は3億7100万円。どちらも前週との比較でおよそ4分の3の成績に落ち着いているが、まだまだ高い水準をキープしていることには変わりない。ちなみに国内実写映画が4週連続で首位に輝いたのは、昨年秋の『ミステリと言う勿れ』(23)以来。続編やテレビドラマの劇場版を除けば『花束みたいな恋をした』(21)以来3年3か月ぶりとなる。

しかも、この週末直前の4月4日の時点で興収30億円という一つの節目に到達していた『変な家』。公開から21日目での興収30億円突破は、先述の『ミステリと言う勿れ』よりも1日早く、週末3日間を加えた公開24日間での累計成績は動員277万8000人、興収34億5900万円を突破している。この大ヒットを後押ししている中高生の客層のほとんどが新学期を迎えたここからが、同作にとって大きな試金石となるはずだ。

次週末からは次なる書き入れ時であるゴールデンウィーク興行に向けて、このシーズンの大本命である『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』(4月12日公開)が公開を迎える。昨年の『名探偵コナン 黒鉄の魚影』(23)は、ゴールデンウィーク期間まで4週連続で興収10億円を超える驚異的な成績を叩きだし、シリーズ最高の興収138億8000万円を記録。さすがにこの強力なライバルが相手では『変な家』の5週連続Vは叶いそうもないだろう。

またその翌週には『陰陽師0』(4月19日公開)と『劇場版ブルーロック -EPISODE凪-』(4月19日公開)、さらに次の週には『ゴジラxコング 新たなる帝国』(4月26日公開)などの注目作がゴールデンウィークに向けて次々と公開されるとはいえ、『名探偵コナン』以外で『変な家』の主要な客層をがっつりと奪いそうなタイトルは見受けられない。

となると、動員ランキングの首位の座こそ譲ったとしても、ゴールデンウィーク期間、あるいはその先(例えば中高生の試験休みなど)にまた『変な家』が息を吹き返す可能性は非常に高いと考えられる。すでにこちらの予想を何度も超えてきている作品だけに、その動向はまったくもって未知数である。

■『映画ドラえもん』vs『劇場版ハイキュー!!』が今週も熾烈なデッドヒート

さて、ランキングの2位と3位に目を向けてみると、公開6週目を迎えた『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』(公開中)が、公開8週目を迎えた『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』(公開中)を3週間ぶりに逆転。当初は春休みの首位争いを繰り広げるとみられた両者の“2位争い”のデッドヒートも引き続き見逃せないポイントとなっている。

この週末3日間の『のび太の地球交響楽』の成績は動員18万2000人、興収2億2200万円で、累計成績では動員309万5000人、興収36億8000万円に到達。昨年の『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』(23)の同時期までの累計成績には動員、興収共にわずかに届かないものの、6週目末3日間の成績だけでみればどちらも109%。春休み後も成績を伸ばすことができれば、前作超え、すなわちコロナ禍以降でのシリーズ最高成績も見えてくる。

一方、3位となった『劇場版ハイキュー!!』のほうは、週末3日間で動員14万2000人、興収2億1300万円と、後者では『のび太の地球交響楽』にかなり僅差まで迫っている。もっとも前週、前々週と新たな入場者プレゼントが配布されていたことが好成績の維持に繋がっていたと考えると、第5弾が配布される4月20日(土)の週末に再び上位に食い込んでくることだろう。

なお累計興収では92億7000万円となっており、日本歴代興収ランキングでは60位まで浮上。昨年夏からロングランが続いている宮崎駿監督のスタジオジブリ作品『君たちはどう生きるか』(公開中)をまもなく超える見込みだ。

クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』(公開中)は前週に続いて4位をキープ。通常のデジタル上映に加えて、IMAXやDolby Cinemaでの上映が軒並み好調のようで、4月13日(土)にはIMAXとDolby Cinema、そして35mmフィルム版の3フォーマットを1日で鑑賞する「3フォーマット制覇バスツアー」が開催。3時間の長尺作品を1日で3回観るという超ハイカロリーな鑑賞スケジュールながら、すでに定員に達しているとのこと。

そして、1970年代に一世を風靡したオカルトホラー映画『オーメン』(76)の前日譚として“悪魔の子”ダミアンの誕生にまつわる秘密が明らかにされる『オーメン:ザ・ファースト』(公開中)が初日から3日間で動員4万6169人、興収6448万円を記録。8位に初登場を果たした。

以下は、1〜10位までのランキング(4月5日〜4月7日)
1位『変な家』
2位『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』
3位『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』
4位『オッペンハイマー』
5位『四月になれば彼女は』
6位『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』
7位『ゴジラ-1.0』
8位『オーメン:ザ・ファースト』
9位『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』
10位『恋わずらいのエリー』


今週末は、先述の通り「劇場版 名探偵コナン」シリーズの第27作となる『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』がシリーズ史上最大規模の515館(IMAX50館、MX4D13館、4DX64館、Dolby Cinema8館を含む)で公開されるほか、ソフィア・コッポラ監督がエルヴィス・プレスリーの元妻プリシラ・プレスリーの回想録を映画化した『プリシラ』(4月12日公開)などが控えている。

文/久保田 和馬