県は9日、県諏訪湖環境研究センター(岡谷市)の開所式を現地で行った。諏訪湖を中心とした県内の湖沼や河川の水環境・生態系保全に向けた調査研究機能に重点を置き、学びと情報発信の拠点としての役割を担う。式典には阿部守一知事や髙村典子センター長をはじめ、諏訪地方の市町村長や県の関係者ら約40人が出席し、新施設の完成を祝った。

 阿部知事はあいさつで「諏訪湖のさまざまな課題を乗り越えるためには、科学的な知見をもとに議論を重ねていくことが重要。地域の象徴として守り育ててきた皆さんの思いにしっかりと応えたい」とし、「諏訪湖を中心とした県の水環境の保全に一層力を注いでいく」と話した。

 環境研究センターは、岡谷市の諏訪湖畔にある県男女共同参画センター「あいとぴあ」内に、建物を一部改修して開設した。4階建て(一部2階建て)で、1階の男女共同参画センターとの共用部分を含めた延べ床面積は約3300平方メートル。県環境部水大気環境課が所管し、職員20人を配置する。

 2〜4階部分に研究室や検査室、機器室などを設置。湖水に溶け込んだ魚類の環境DNAから、各区域にどのような魚種がどの程度の密度で生息しているかを把握する測定装置を新たに導入した。1階エントランスホールとホワイエには、大量繁茂が課題となる水草ヒシや貧酸素の発生メカニズムに関する解説、諏訪湖の水質観測データなど環境学習できる展示物を数多く設けた。屋上には約160枚の太陽光パネルを新設し、使用電力の一部を賄う。

 この日は見学会も行われ、県の職員が出席者らに施設内を案内した。髙村センター長は「科学的に分かったことを施策に反映していただけるように研究を進めていく。地元住民の疑問と期待に応えられるセンターにしたい」と意気込みを語った。