2月末に開幕したサッカーJ2は、全38節のうち第10節までを消化した。V・ファーレン長崎は通算6勝3分け1敗の勝ち点21で自動昇格圏内の2位。2度の3連勝を飾るなど好調で、首位清水を勝ち点1差で追っている。

◎転機はカップ戦

 開幕からの2試合は1分け1敗と白星に恵まれなかったが、連戦の中で開催されたルヴァン杯1次ラウンド1回戦の愛媛戦が転機となった。延長の末に4−3。下平監督は「チームとして初勝利を挙げたことでメンタルが楽になり、戦術も間違っていなかったと確認できた」と振り返る。
 その愛媛戦から中3日で迎えた第3節のホーム清水戦は、4−1と圧倒して今季リーグ戦初勝利。第10節まで8戦無敗(6勝2分け)と上昇気流に乗った。10節までの総得点はリーグトップタイの22点。2013年にJ2リーグに参入して以降最多となっている。
 好調の要因は、DFラインから攻撃を組み立てるビルドアップの改善がまず挙げられる。昨季はサイド一辺倒で手詰まり感があったが今季はGKとセンターバック、ボランチで数的優位をつくりながら、円滑に前線へボールを運べるようになった。
 中盤はマテウスの存在感が光る。ためをつくれるほか、ゴール前へ飛び出しての決定力も高い。加藤は、豊富な運動量を生かして動き回り、攻守の“潤滑油”として欠かせなくなった。5人の交代枠をフル活用して入れ替えている前線は、エジガルジュニオがリーグトップタイの6得点、フアンマとマテウスが2位タイの5得点。対戦相手の脅威となっている。
 契約満了による退団から一転、再契約を結び、主将として全試合に出場している秋野は「全員が、結果が出なければ代えられるという危機感を持ってやれている。いい競争が生まれている」と分析。笠柳、加藤、秋野がそれぞれ3アシストするなど得点パターンも多彩となっている。無得点だったのは開幕戦の1試合だけで、攻撃陣の好調さが、そのまま順位に結び付いている。

◎後半の守備課題

 総失点数10は20チームの中で中位に甘んじている。リーグ戦38試合で35失点以下を目標に掲げているチームとしては、やや多い。失点の時間帯を見ると、前半の2点に対し、後半は8点。打たれたシュート99本のうち72本が後半で、守備強度が落ちて受け身になってしまい、攻撃の組み立てもできずにDFラインが下がってしまう傾向にある。下平監督は「これまでは前線の交代が多かったが、後ろを代えるという選択肢も考えないといけない」としている。
 17日のルヴァン杯1次ラウンド2回戦でJ1磐田を撃破して勢いはさらに増している。21日の第11節はホームで、昨季までJ1で戦っていた4位横浜FCとの上位対決を迎える。下平監督にとっては2019年にJ1昇格に導いた古巣でもある。指揮官は「J1昇格を争うライバルに直接勝って、もっと勢いをつけたい」と今季初の4連勝に強い決意を口にした。