より良い人生の最期を迎えるために行う活動「終活」。

27日、大分市内の寺で自分自身の葬式に備えたある「終活」が行われました。

黄色い菜の花が咲き誇る中、和やかな雰囲気で行われる写真撮影…

撮っているのは、お葬式に使う「遺影」用の写真です。

大分市の専想寺で2023年から行われている「生前遺影撮影会」では、1人5000円でプロのカメラマンが表情を引き出し、その人となりを伝える1枚をカメラに収めます。

葬式の時に遺影写真がなくて困ったという遺族の声を受けて始まりました。

参加者

「普段は集合写真しか撮ってなかった。一人で写真を撮るのは初めてじゃないかなと」

「子どもが、私が亡くなった時にすぐに使いやすいように」

27日行われた撮影会には67歳から79歳の5人が参加。

夫婦で参加した阿部夫妻のもとには県外に住む娘と孫も駆け付け家族写真も一緒に撮りましました。

阿部さん一家

「元気なときの(親の)顔をおさめられる良さっていうのはいいなと思いました」

「本当に思った」

「これから先もこのまま生き続けてほしいと思う」

「この子も二十歳になって、長い間にこの子も大きくなったと感じますし、そのぶん親も年をとった。色々思い出しました。涙が出そうになりましたね。あなた(息子)がそんなこと言うと思わなかったから」

専想寺 大内顯乗副住職

「遺影、死ということを考えるとどちらかというと暗くなる、なるべく避けていきたい話ですが、死を考えるということは、生きている事を喜ぶことでもあると思う。そういった声が聴けて良かった」

人生のしまい方を考える、「終活」。

その活動は「どう生きるか」を考えることや家族への配慮につながるかもしれません。

県内での取り組みを見ていきます。

「終わる」に「活動の活」と書いて「終活」。

おなじみの言葉になってきているかもしれませんが改めてその意味を見てみますと、「人生の終わりについて考える活動」のことで遺産相続の手続きやモノの整理など具体的な活動は人によって様々です。

雑誌「ハルメク生きかた上手研究所」が50〜79歳の男女2000人を対象に2023年実施した意識調査では、76%の人が『終活は必要』と回答しました。

しかし一方で『既に始めている』と回答したのは39.2%。4割ほどにとどまっています。

具体的にどのような「終活」が必要と考えられているのかランキングを見てみますと、1位が「家具などの荷物の整理」2位は「金融口座などの整理」3位は「衣服など装飾品の処分」となっていて…その他にも6位には「SNSのデータ消去」や7位には「健康習慣の見直し」10位には「会いたい人に会う」といったものもランクインしています。

県内でも「終活」にまつわる取り組みが進んでいます。

「デスカフェ」ってご存じでしょうか?デスって英語で「死」を意味するデスです。

デスカフェは1999年にスイスで生まれたといわれていて世界70カ国で行われています。

皆で集まりカードゲームなどを通し「死」について考えます。

大分市でも「デスカフェ読書会」というものが開かれていて「死」がテーマの小説やノンフィクションといった本を要約して感想を共有します。

それを通じて死生観や生きることについて考えているそうです。

こちらには高齢者だけでなく比較的若い世代も参加しているそうです。

「終活」には自治体も取り組んでいます。

例えば大分市は独自の「エンディングノート」を発行しています。

希望する医療や介護財産や相続についてどうしたいかを書き込むことができ、相談先の連絡先なども掲載されています。

大分市・長寿福祉課の担当者は「数年前から相続や不動産など死後どうしたらいいかという相談が増えた終活通じ不安の軽減につながれば」と話しています。

エンディングノートに法的能力はありませんが、終活する上でまず何からしたらいいか整理したり行動を起こす1歩目として活用できるかもしれません。