野球の怖さをまざまざと見せつけるような試合だった。

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 4月7日(現地)、パイレーツ対オリオールズ戦はあまりにも劇的な結末を迎えた。

 オリオールズが2対1と1点リードで迎えた9回裏、パイレーツは1死満塁と一打逆転のチャンスを迎える。ここで打席に入ったのはエドワード・オリバレス。カウント2−2からの6球目、オリオールズの守護神イェニアー・カノーが投じた内角寄りのシンカーをオリバレスが叩くと、打球はやや詰まりながらもセンター前へ抜けるかと思われた。

 しかしここで、昨季の新人王ガナー・ヘンダーソンが果敢に飛びついて二塁ベースの真後ろで打球を好捕。すぐさま立ち上げると二塁ベースをタッチし、一塁へ送球してゲームセット......と思いきや、ほんの一瞬の焦りからか、送球が大きく逸れてしまった。

 この間に、三塁走者に続いて二塁走者も生還。文字通り土俵際から蘇ったパイレーツが前日に続いて強豪オリオールズ相手にサヨナラ勝ちを収め、これで開幕8勝2敗のロケットスタートとなった。 昨季まで8年連続負け越し中のパイレーツだが、将来有望な若手選手が続々と台頭。大本命不在のナ・リーグ中地区で一気に台風の目になろうとしている。

 2試合連続のサヨナラ勝ちに沸くパイレーツのクラブハウスでは、オリバレスが「チーム全体が団結していい野球をしていることの証だ」と胸を張った一方、打球を好捕しながらサヨナラ悪送球と「天国から地獄」を味わったヘンダーソンは「100回中99回はできているはずのプレーなのに」と唇を噛んだ。

 ただ、オリオールズのブランドン・ハイド監督が「あの打球に追いつくことができる選手はそうはいない」と語ったように、ヘンダーソンの守備もまた見事だった。

 シーズン序盤から、まるでプレーオフのような緊張感に満ちた戦いを見せてくれた両チーム。今後の戦いにも注目したい。

構成●SLUGGER編集部

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