「キングダム」(2019年)のチュ・ジフンと「ムービング」(2023年)のハン・ヒョジュが初共演するドラマ「支配種」(全10話/ディズニープラスのスターで毎週水曜に2話ずつ配信)が配信中だ。同作で、知的で腕の立つボディーガード、ウ・チェウンを演じるジフンと、彼が意図的に近づいていく国際企業のCEOユン・ジャユを演じるヒョジュにキャラクターや役作りについて話を聞いた。

■チェウンは、ジャユに疑念を抱き接近する

「支配種」は、元軍人のウ・チェウン(ジフン)が大統領テロ事件の真相に迫るサスペンス。チェウンは、人工培養肉技術で急成長する国際企業・BF社のCEOでテロの現場にも居合わせたユン・ジャユ(ヒョジュ)に疑いを持ち、彼女のボディーガードとなって潜入し、身辺を探り始める。

アクション俳優としても人気のジフンだけに、序盤からアクションシーンも満載。チェウンがホログラムを相手に戦う近未来的なシーンや、荒くれ者17人にたった一人で応戦していくシーンなどが放送され、話題を集めた。

一方で、捜査対象であるはずのジャユとの関係も少しずつ変化している。度重なる活躍でジャユの信頼を勝ち取り始めているチェウン。今後は、信頼と疑念の間で揺れ動く2人の微妙な関係がストーリーの焦点になっていきそうだ。

■ジフン、アクションは「一から作り込んだ」

――まずはご自身の演じているキャラクターについて教えてください。

ジフン:ウ・チェウンは元軍人のボディーガードです。かつて大統領を狙ったテロに巻き込まれ、そのテロの黒幕を追ってひそかに捜査をしている人物です。

ヒョジュ:ユン・ジャユは生命工学企業BF社のCEOとして会社を経営している人物です。バイオ細胞を研究してバイオ肉などを作る会社なんですが、そのせいで第一産業を敵に回すことになり、命を狙われている人物です。(自身出演作の)「ムービング」が皆さんにすごく愛していただけたので、今回も愛される作品になるとうれしいなと思っています。

――ジフンさんはボディーガードとして強烈なアクションを披露されていますが、アクションシーンはどんな思いで臨まれましたか?

ジフン:今回は近未来の設定ということで、ディテールを設定する上で少し難しいところがありました。見ている方々により実感を持っていただくためにいろんな工夫をした中で、その一つがアクションでした。フィクションのような未来ではなく、もっと地に足が着いているアクションでなくてはいけないと思ったのでジャンルをかなり工夫して、動きがあるというよりはタッチ感のあるアクションを心掛けました。

――アクションで今回特別に準備されたことはありますか?

ジフン:ボディーガードの役なので、登場した瞬間に存在感を出すため体づくりと言いますか、体を大きくしたんです。そして今回アクションチーム、撮影チームとも結構仲が良くて、アクションに関してはデザインを一から作り込みました。アクションに使う小道具やアクションにふさわしい周りの美術なども、かなり打合せしながら新たに制作して臨みました。楽しい作業でした。

■ヒョジュ「ジャユはすごい人」

――ヒョジュさんは美しさが引き立つミステリアスなキャラクターですが、ジャユという女性を演じられてみて、ご自身で感じたジャユの魅力はどんなところでしたか?

ヒョジュ:ユン・ジャユという女性はすごい人だと思いました。自分が考えていること、夢見るものを諦めずに、どんな状況に見舞われても我が道を歩む女性なんです。そういう姿に強さを感じましたし、堂々と歩んでいく姿がかっこいいなと思ったんですね。それも、これ見よがしにという感じではなく、本当に内面に秘めている静かなカリスマがあって、すごい女性だと思いました。

ジフン:それ、ヒョジュさん自身のことなんじゃない?(笑)

ヒョジュ:(笑)。私は、ジャユが善良なのか悪なのか曖昧な、ミステリアスな人物に映るといいなと思ったんです。感情を表に出さない人物なので、どこまで表現するのかはずいぶん悩みましたね。声のトーンなどもちょっとずつ差をつけて、私が普段話すときよりは声を抑えるような形でキャラクターを表現しようとしました。全体的にはちょっと枯れた木の葉のようなイメージを持って演じました。

■ヒョジュ、ジフンは「現場全体を見渡す目も」

――お2人は今回が初共演ということですが、それぞれお互いの印象を教えてください。

ジフン:ヒョジュさんは非常に凛とした、密度の高い俳優さんだと思いました。個人的に話している時もそうですし、演じる時もすごく熱心な、芯の強い方なので、私はすごく頼りにしていました。私より年下なんですが、結構どっしり構えてる感じですね。すごく安定感があるんですよ。こういうインタビューなどは、あまり慣れない方と接するわけなのでちょっと心が浮ついたりするんですが、彼女がそばにいると結構落ち着いてくるんです。とても頼りになります。(答えた後に2人で顔を見合わせ笑い合う)

ヒョジュ:(ジフンの答えに)どうしてなんでしょう?(笑) ジフンさんは、イケメンで、身長も高くて、アクションもとても得意で、カッコいい俳優です。そして、ときに現場全体を見渡すプロデューサーとしての目も持っていらっしゃる方だと思うんです。トラブルが起こったり、トラブルが起こりそうな時にも声をかけてくださったので、心強かったです。

――プロデューサー的視点もお持ちのジフンさんが普段、お芝居をされる上で一番大切にしていることは何でしょうか?

ジフン:私が一番肝心だと思っているのはプリプロダクション(※小道具や美術など必要なものの洗い出しや手配・制作、スタッフ・キャスト間の打合せなど、撮影に入る前に行う準備作業全般)なんですね。撮影に入る前にはそれぞれやはり思うところが違ったりもするので、お互いのものの見方にズレがあった場合にはその焦点をまずは合わせていったほうが、それでこそ現場がスムーズに回るものだと思うので、プリプロダクションがすごく大事だと思います。というか、それが全てだと思います。

――では最後にお2人それぞれ、作品をとても楽しみにしている視聴者へのメッセージをお願いします。

ジフン:いやあ、楽しみにされていると言われると、私に編集権はないんです。編集はすでに終わっているんでね(笑)。公開されたらぜひ楽しんでください。

ヒョジュ:すごく斬新な題材を扱っている、また、現実にありそうなことをとてもスマートに紡ぎ出している作品だと思います。どうか皆さんぜひご覧いただきたいと思います。

◆取材・文=酒寄美智子