右上から時計回りにドゥレッツァ、ディープボンド、タスティエーラ、テーオーロイヤル
右上から時計回りにドゥレッツァ、ディープボンド、タスティエーラ、テーオーロイヤル

天皇賞・春2024

[GⅠ天皇賞・春=2024年4月28日(日曜)4歳上、京都競馬場・芝外3200メートル]

 イギリスやフランスには4000メートルのGⅠレースもあるが、世界的に見ても3000メートルを超えるGⅠレースはそう多くない。スピード全盛の時代で、牡馬3冠の中でも菊花賞をパスする馬も出ている昨今、マラソンレースの存在意義を問う声も。ただ、勝敗を左右する要素として一般的に「馬7、人3」と言われるが、長距離戦ではその割合ももっと接近(逆転?)するはず。コーナーを6度回り、3〜4角の上り下りを2回通過。人馬の駆け引きのおもしろさはほかのレースにはない醍醐味だ。

 天皇賞・春で好走が目立つのは同じ長距離GⅠの菊花賞馬であり、今年もドゥレッツァ(牡4・尾関)が参戦。3歳クラシックでは春シーズンの大舞台へは出走できなかったが、最後の1冠で2着に3馬身半差をつける快勝で既成勢力を一蹴した。今年初戦の金鯱賞では5馬身差の完敗も久々の10ハロン戦でのもの。菊花賞で好エスコートを見せたルメールの負傷離脱は痛いが、戸崎圭を新パートナーに迎え、実績ある長丁場で世代レベルへの厳しい声を封じる走りを見せられるか。

 メンバー中、2頭しかいないGⅠウイナーのもう1頭が同じ4歳世代のタスティエーラ(牡・堀)だ。絶好のポジション・展開に映ったGⅠ大阪杯でまさかの11着凡走。今回は復権がかかる大事な一戦となり、そのためには菊花賞で完敗したドゥレッツァへのリベンジを果たさなければならない。その菊花賞以来のコンビとなるモレイラの〝マジック〟も後押しに復活Vを目指す。

 これらGⅠ馬を封じて初タイトルを目指すテーオーロイヤル(牡6・岡田)。22年のジャパンC(14着)の後に骨折で長期休養を余儀なくされたが、GⅢダイヤモンドS→GⅡ阪神大賞典連勝で完全復活をアピール。一昨年のこのレースではタイトルホルダーやディープボンド相手にガチンコ勝負の3着しており、古豪の経験と底力を見せつける。

 4度目の参戦となるディープボンド(牡7・大久保)は過去3年で連続2着。まさに〝悲願〟という言葉がピッタリだろう。長休明けをひと叩きした昨年3着馬シルヴァーソニック(牡8・池江)も3年連続の参戦。いずれかが勝てば、史上初の7歳以上馬の天皇賞・春制覇となる。

 ほかにもさまざまな記録がかかる馬が多数スタンバイ。サリエラ(牝5・国枝)は1953年レダ以来、71年ぶりの牝馬Vがかかる。また、勝てば父ディープインパクトは単独トップのGⅠ72勝目(現在はサンデーサイレンスと並ぶ71勝)となる。他方、GⅡアメリカJCCを制して臨むチャックネイト(セン6・堀)には08年にセン馬の出走が可能となって以来、初のVがかかる。

 個性派はまだまだスタンバイ。スタミナ豊富な阪神大賞典2着ワープスピード(牡5・高木)、3着ブローザホーン(牡5・吉岡)らも持ち前の持久力で一発を狙っており、馬券的にも興味深い一戦となりそうだ。

著者:東スポ競馬編集部