4月10日に『道南恋しや』でデビューする演歌界期待の新星・小山雄大。幼い頃から氷川きよしの歌に夢中だった少年は、いかにして人々の心に響く特別な歌声〝マジックボイス〟を手に入れ、演歌歌手になる夢を実現させたのか――歌手デビューに向かって一心不乱に駆け抜けてきた20年間を、本人の言葉で振り返る。


◆幼少期〜中学生/氷川きよしと民謡に明け暮れた北海道時代

2歳のころ

2003年3月5日、北海道札幌市で生まれる。2歳の頃には、テレビから流れる氷川きよしの歌のとりこになった。

「はっきりした記憶はないのですが、親から聞いたり残っている映像などを見たりすると、その頃から演歌が好きだったようです。演歌というより氷川きよしさんの歌が大好きだったという方が正しいかもしれません。特によく聞いていたのは『きよしのズンドコ節』でした」

それ以来、聴く音楽は氷川の曲一筋。気持ちよく伸びる歌声に夢中になったという。

「パ〜ンと抜けるような高音が、聴いていてすごく気持ちよかったです。それに最初に聴いたのが、いわゆるド演歌ではなくて、『きよしのズンドコ節』だったのも、子どもにとっては入りやすかったのかもしれません」

小学校入学前後に〝芸能活動〟をしていた時期もある。

「札幌にあるフルーツバスケットという劇団に入っていたことがあって、その時にドラマ『MOTHER』(日本テレビ系)やTEAM NACSの映画『N43℃』などに、子役のエキストラとして出演させていただいたこともあります」

小学生になっても続く〝氷川愛〟に、友達とは話が合わないこともあったという。

「家に帰ったら氷川さんのDVDを見ながら一緒に歌うのが日課でしたし、車の中でもずっと氷川さんの歌を聴いている毎日でしたから、友達の話についていけないこともありました。アニメなどもほとんど見たことがなくて、皆が『ONE PIECE』の話をしているのを聞いて、心の中で〝なんで女の子の洋服の話をしているのかな?〟なんて思ったこともあります(笑)。その頃から僕の夢は演歌歌手になることでしたし、友達も僕が氷川さんの歌を歌うと、〝キヨシ!〟って掛け声をかけて応援してくれました」

後に小中学生世代の大会で、数々のタイトルを獲得する民謡を習い始めたのは4歳の頃。

「奥尻島のお祭りで新田親子さんの津軽三味線を聴いて、最初は三味線に興味を持ちました。それで母親が、民謡教室だったら三味線もあるだろうと連れていってくれたのが民謡との出会いです。ただ、まだ4歳でしたから、三味線はもう少し大きくなってからということで、まずは歌を勉強することになりました。どこにいても歌っているような本当に歌好きな子どもでしたから、民謡にも抵抗はなくて、次の練習日が待ち遠しかったです。三味線を始めたのは小学2年になってからでした」

2009年の「道南口説節全国大会幼年の部」優勝を皮切りに、小学校、中学校時代は、多くの民謡大会で好成績を収めた。

「道南口説節全国大会、全大阪みんようジュニアフェスティバル、江刺追分全国大会などで優勝させていただきましたが、思い出深いのは日本民謡協会少年少女大会です。小学生の時から出場していて、優勝もできたのですが、2016年の中学2年の時は僅差で2位。悔しかったですし、翌年は日本一を獲らなければ、もう後がないと思って気合を入れて臨みました。その年、変声期を乗り越えて優勝できたことは嬉しかった思い出です。(優勝者の)名前を呼ばれた時のことは、今も忘れられません。」

2013年9月22日 10歳のとき
江差追分全国大会 優勝

そんな輝かしい〝民謡少年〟時代を過ごしても、演歌歌手になるという目標はブレたことはなかった。

「やっぱり僕は小さい頃から演歌が好きで氷川さんが大好きで、歌手になりたいという大きな夢がありましたので、演歌歌手になるんだという気持ちはゆるがなかったですね。例えばあのまま民謡教室の先生になっていたら、今頃、絶対に後悔していると思います」

そんな生活を送る小山少年に、ある日、演歌歌手を目指すモチベーションがさらに上がる出来事が起こる。

「小学生の頃だったと思うのですが、氷川さんのコンサートに行った時、『氷川さんのような歌手になりたいです。今、民謡を習っていますが、どうしたらいいですか』みたいなことを書いた僕のアンケートが、なんと氷川さんに読まれたことがあって、さらにステージ上から〝一節歌ってみて〟って声をかけていただいたんです。『道南口説節』を歌ったら〝上手だねぇ。将来は一緒に紅白に出ようね〟というお言葉をいただきました。嬉しかったですし、頑張ろうと思いましたね」

後の人生を大きく左右することになる『NHKのど自慢』に出場、史上初の中学生グランドチャンピオンに輝いたのは中学1年の時。

「12歳の時に、北海道の岩内町で収録が行われた『NHKのど自慢』に出場しました。氷川さんがゲスト出演されると聞いて、これは出るしかないと思って(笑)。その後、チャンピオン大会に進むことができて、氷川さんの『獅子』を歌ってグランドチャンピオンになることができました。その年からチャンピオン大会の出場年齢が中学生からに下がって、運がよかったなと思います」

2016年1月11日 12歳のとき 
NHKのど自慢チャンピオン大会 グランドチャンピオン

グランドチャンピオンの肩書は、その後、小山を歌手デビューへと導いていく。

「『のど自慢』に応募した時はとにかく氷川さんに会いたい一心で、先のことは何も考えていませんでした。でもチャンピオン大会に出たことで、師匠の弦哲也先生とお会いすることができたのですから、今から考えれば大きなチャンスだったと思います。そこから中学生の間は2カ月に1回くらいの頻度で東京の先生のところまで歌のレッスンに通いました」

◆高校生〜デビュー/ワクワクだった東京時代

高校進学を機に、15歳で母親と上京。弦哲也のレッスンも本格化する。

「一人暮らしがダメな高校でしたので、母親と一緒に上京しました。東京暮らしは不安より楽しみの方が多かったですね。歌手になるために東京へ来たと思っていましたし、チャンスも大きいはずだと思っていましたから。弦先生のレッスンも毎月に増えて、いよいよ歌手に向かって動き出したという前向きな気持ちだったと思います」

民謡やのど自慢のチャンピオンの肩書を引っさげて弦哲也の下で本格的にレッスンを受けることになった小山だったが、そこで思わぬ苦戦を強いられることになる。

「民謡はお師匠さんについて習ってきましたが、演歌は自分なりの歌い方でやってきたものですから、全部が民謡調になってしまっていました。コブシはいらないと言われまして、まずはコブシを取るのに苦戦しました。演歌にもコブシはありますが、それは味付けであって、僕の(その頃の)歌は〝塩味タップリ〟で食べられたものではなかった。演歌の歌い方をそこで初めて知って、マスターできるようにと必死に頑張りました」

弦哲也から、所属することになる事務所「ミイガンプロダクション」の社長・松前ひろ子を紹介され、2023年8月にオーディションを受ける。

「オーディションを受ける前に、いきなりでは緊張するだろうからと、松前先生がお食事会を開いてくださいました。芸能界のこともいろいろ教えていただいて、厳しい世界だけれど頑張れと励ましていただきました。その2、3日後にオーディションがありまして、歌と三味線を披露して、合格することがきました」

ミイガンプロダクション集合
左から 三山ひろし、工藤宏二郎、けん玉ちばちゃん、松前ひろ子

2024年4月10日に念願のデビューが決定

「デビューが決まったことは松前先生からのLINEで知りました。〝4月10日に決まりました〟という文面を見た時には嬉しくて、すぐに母親に報告しました。母親は〝小さい頃からの夢が叶って良かったね〟って言ってくれました。子どもの頃から民謡や三味線などを習わせてくれて、女手一つで育ててくれた母でしたので、喜んでもらえて良かったです。これからは、たくさん親孝行していきたいと思っています」

デビュー曲は、小山の故郷・北海道道南地方の地名が散りばめられた望郷演歌『道南恋しや』が選ばれた。

「『道南恋しや』は、2年前ほどに弦先生からいただいていて、ずっと練習してきた曲でした。さわだすずこ先生が書いてくださった詞は、僕の思い出がいっぱい詰まった地名がたくさん出てきて、最初に聴いた時は情景が浮かんできて馴染みやすい曲だなと思いました」

初レコーディング
左:さわだすずこ 右:弦哲也

カップリングは弦哲也が作詞・作曲共に手掛けた『椿咲く島』。歌の舞台は九州・五島列島だが、『道南恋しや』同様、望郷演歌だ。

「3番の〝届いた小包を 開ければなつかしい 故郷の匂い〟という詞も好きですが、何より〝母さんごめんよ 心配かけて 笑顔で帰れる その日を信じ〟という歌詞が、母親のことを思い出させてくれて、最初に歌った時は泣きそうになったのを覚えています。」

家族と

歌手デビュー、そしてこれから/「全国民の孫」として

小山には歌以外でもファンに喜んでもらえる〝特技〟がある。

「小学校の頃、マジックがはやって始めたのですがすぐに飽きてしまって。その後、高校1年からまた初めて、すっかりハマり、特技になりました。僕のキャッチフレーズ〝マジックボイス〟はここから命名されたんです。特にカードマジックが好きなのですが、これからは、コンサート会場の後ろからでも分かるような大きなマジックも身に着けて、事務所の先輩・三山ひろしさんのけん玉のように、皆さんに喜んでいただけるようになれたらと思っています」

2024年3月5日 21歳の誕生日

北海道で演歌歌手になるという夢を追い、辛い時も楽しい時も、いつも歌が傍らにあった。そんな小山が目指すのは、歌で聴く人を幸せにすることだ。

「僕自身、歌で時には勇気をもらったり、時には笑顔をもらったりしてきましたから、これからは皆さんに恩返しする番。デビューに際して「全国民の孫」というキャッチフレーズを付けていただきました。10年後も20年後も、孫のように愛される親しみやすい歌手でいたいと思っています」

小山雄大 プロフィール

北海道札幌市出身。2003年3月5日生まれ。20歳。特技はマジックでかなりの腕前。
2歳のころから、テレビで流れる氷川きよしの曲を聴いて歌い始める。
4歳の時から本格的に民謡を習い始める。小学二年生からは三味線も弾き始める。
2009、2011、2015年には道南口説節全国大会幼年の部、少年一部、少年二部でそれぞれ優勝。
2012、2015年には全大阪みんようジュニアフェスティバル全国大会にて第二部、第三部で優勝するなど、さまざまな賞を受賞。
NHK「NHKのど自慢」、テレビ東京「カラオケバトル」、フジテレビ「ミライ☆モンスター」他テレビ番組の出演も増える中、2016年上京。作曲家・弦哲也氏の元でレッスンをスタート。同年、「NHKのど自慢」チャンピオン大会において氷川きよしの『獅子』を歌いグランドチャンピオンに輝く。
2024年にキングレコードより『道南恋しや』でデビュー。

小山雄大『道南恋しや』ミュージックビデオ

https://www.youtube.com/watch?v=mONYYHFAQfo

小山雄大『道南恋しや』

2024年4月10日(水)発売

品番:KICM-31134
価格:¥1,500(税込)

【収録曲】

1.道南恋しや(作詞:さわだすずこ/作曲:弦哲也/編曲:猪股義周)
2.椿咲く島(作詞:さわだすずこ/作曲:弦哲也/編曲:猪股義周)
3.道南恋しや(オリジナル・カラオケ)
4.道南恋しや(一般用・カラオケ)
5.椿咲く島(オリジナル・カラオケ)
6.椿咲く島(一般用・カラオケ)

商品ページ:
https://www.kingrecords.co.jp/cs/g/gKICM-31134/