【ソウル聯合ニュース】サッカー韓国代表がアジア・カップ準決勝で敗退したことを受け、2023年に代表監督に就任したクリンスマン氏が解任される見通しとなった。

 大韓サッカー協会の戦力強化委員会は15日、アジア・カップの結果などを議論し、クリンスマン監督の解任を協会に申し入れたと発表した。

 同委員会は代表チームに対する助言・諮問を目的に設置され、監督解任を直接決定する権限はない。この日まとめた意見をサッカー協会側に報告する予定だ。ただ協会が13日に開いた会議でも監督交代の必要性が相次いで指摘されており、クリンスマン氏の解任は避けられない見通しとなった。

 ◇指導者として輝かしいスタート切るもその後は振るわず

 大韓サッカー協会は22年のワールドカップ(W杯)カタール大会を終えて退任したベント監督の後任としてクリンスマン氏を選出した。契約期間は26年のW杯北中米大会まで。

 クリンスマン氏の代表監督就任には当初から疑問の声が上がっていた。元ドイツ代表のクリンスマン氏は04〜06年までドイツ代表の監督を務め、06年のW杯で3位に入るなど指導者として華やかなスタートを切ったものの、その後は目立った成果を出していない。

 11年に米国代表監督に就任したが、18年W杯ロシア大会の予選での不振を受け、16年に解任された。韓国代表の監督に就任する前は19年11月にドイツ2部のヘルタ・ベルリンの監督に就任するも10週間で退任。約3年の空白を経て昨年2月に韓国代表の監督に就任した。

 クリンスマン監督は、23年3月に行われたコロンビアとの親善試合(2―2で引き分け)で初めて指揮を取ってから、5試合連続で勝利を収めることができなかった。韓国で代表監督が専任制になった1992年以降、就任から5試合連続で未勝利だったのはクリンスマン氏が初めてという。

 ただ就任から6試合目となる23年9月のサウジアラビアとの親善試合では1―0で勝利し、先月開幕したアジア・カップ直前まで6連勝するなど、64年ぶり3回目のアジア・カップ優勝に期待が高まっていた。

 しかし1次リーグでは格下のヨルダンやマレーシアを相手に勝ち切ることができず、E組2位での決勝トーナメント進出となった。決勝トーナメントでもサウジアラビア、オーストラリアとの接戦を制したものの、準決勝では再びヨルダンと対戦して0―2で敗れた。

 また準決勝の前夜には主将の孫興ミン(ソン・フンミン、トットナム)と若手の李剛仁(イ・ガンイン、パリ・サンジェルマン)が口論してもみ合いになり、ベテラン選手らが李をヨルダン戦から外すようクリンスマン氏に要請したが、聞き入れずに出場させたことも明らかになった。

 ◇韓国の国民感情を無視? 

 クリンスマン氏は韓国で暮らすという約束を履行せず、米国など海外で過ごす時間が多く、ファンらの反発を招いたが、主要選手の把握のためには国際的な視野が必要だとして取り合わなかった。

 アジア・カップ準決勝でヨルダンに完敗した後も、選手たちの悔しそうな表情と異なり、「笑顔」を見せるなどファンの気持ちを逆なでした。

 戦力強化委員会でも「国内滞在期間、勤務態度が国民を無視しているようだ」「様々な約束を守らず国民の信頼を失い、回復することが不可能だ」などの意見が出た。