朝から晩まで楽しみの尽きない京都さんぽ。往々にしてランチとディナーは事前に考えていくものの、合間の休憩は行き当たりばったりになりがち。見渡せば何かしら入れそうな店の見つかる街中や名所の近くは混雑必至だし、住宅街なら何も見つからずさまようことになる。あてもなく歩くのも楽しいけれど、せっかくならひとやすみできる場所が頭に入っていると安心。本誌連載「&Kyoto」の「京都さんぽ部」部長で、現地在住ライター、コーディネーターの大和まこさんが、モーニング、昼の食休み、おやつ時、夕方の0軒目、夜喫茶の5つのシーンでひとやすみアドレスを教えてくれました。

『切通し進々堂』の名物”ウイキュウ”。
栗赤飯になる秋も待ち遠しい、『鳴海餅本店』の赤飯セット。

おやつ時、小腹を満たしつつひとやすみ。

 京都には「虫養い(むしやしない)」という言葉がある。小腹を満たす軽い食事のことだ。だから少しだけ甘くない何かを食べたくなっても、ちゃんと正解のあるのがこの街のいいところ。『鳴海餅本店』ではイートインメニューの赤飯を。ほくほくと温かい赤飯が専用の陶器に入った姿は素朴で、その姿見たさに注文してしまう。

 少しパンが食べたい気分なら、祇園の『切通し進々堂』へ。メニューにはトーストとしか書かれていないけれど、ウィキュウはトーストを半分に切って、揚げた赤いウィンナーとキュウリを挟んだトースト。食パン1枚分だからペロリとお腹に収まって、これがまたちょうどいい。七条通にある『喫茶アマゾン』は地元で愛されてきた、たまごサンドの名店。ここにはハーフサイズのサンドイッチが用意されている。

 壬生にある『胡椒餅 福丸』は、台湾同様に窯で焼き上げる胡椒餅が、わざわざ足を運ぶ価値のある味。みたらし団子で知られる甘党『梅園河原町店』には、河原町店と清水店だけで食べられる磯巻きが。焼いた餅にみたらしと同じたまり醤油を塗ったら海苔でくるむ、これぞむしやしない、といった風情だ。

切通し進々堂
ウィキュウこと上ウィンナートースト380円のほか、上玉子トーストも。ビジュアルもいい。京都市東山区祇園町北側254 075‒561‒3029 10時〜15時30分LO 月休ほか不定休

鳴海餅本店
赤飯セット594円。秋には栗赤飯に。京都市上京区下立売通堀川西入西橋詰町283 075‒841‒3080 8時30分〜17時 月休(祝日の場合、火休)イートイン9時30分〜16時 月火休

喫茶アマゾン
ミックストースト・ハーフ750円や、玉子サンド・ハーフ600円。京都市東山区鞘町通七条上る下堀詰町235075‒561‒8875 7時30分〜18時(17時LO、日水〜15時30分) 無休

胡椒餅 福丸
胡椒餅の甘味噌味、醤油味は各380円。カレーチーズ味400円。福丸特製焼売も。京都市中京区壬生仙念町31 075‒812‒1601 11時30分〜売り切れ次第終了 月火休(祝日の場合営業)

梅園 河原町店
磯巻き820円は昔ながらのメニュー。みたらしきな粉餅も密かに人気。京都市中京区河原町三条下る山崎町234‒4 075‒221‒5017 10時30分〜19時30分(19時20分LO) 無休


「京都さんぽ部」部長、ライター、コーディネーター。 大和 まこ

「京都さんぽ部」部長。ライター、コーディネーター。京都暮らしも、もはや25年目に。連載「&Kyoto」は2022年に100回目を迎えて継続中。京都の景色や、食べたもの、買ったものをInstagram()で発信している。

&Premium No. 124 Kyoto Solo Trip / やっぱり、ひとりでも京都。

京都の街を巡り歩くとき、なぜこんなにも心が浮き立つのでしょうか。風情ある神社仏閣や庭、精緻な工芸品を扱う店や美しい佇まいの町家に出合ったかと思えば、そのすぐそばには個性的なコーヒーショップや書店、ギャラリーや生活道具の新店が。長い歴史の中で脈々と息づいてきた伝統と、新しいカルチャー、そして〝ふだんの表情〞を、さらりと共存させる街、京都。今号は、ひとりでも楽しめる京都、そして、ひとりだからこそさらに楽しい京都を案内します。

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