ヤンキースのブーン監督が「何も言ってない」のに退場処分に

 米大リーグで前代未聞の珍事が起こった。ヤンキースのアーロン・ブーン監督が22日(日本時間23日)、本拠地アスレチックス戦の試合開始わずか5球で退場処分を言い渡された。暴言が原因だったが、球審に対し「俺は何も言ってない!」と身振り手振りで猛抗議。映像ではベンチ内からではなく、ブーン監督の背後にいたファンが野次を飛ばす様子が映し出されていたが、球審は「誰が言ったかは関係ない」と主張している。

 驚きを隠し切れなかった。初回、アスレチックスの先頭打者ルイズが右足に死球を受けた。スイングしたようにも見えたが、一塁塁審はノースイングと判断。ブーン監督は両手を広げて不満を示した。続く2番ネビンに1球が投じられたところで、球審のハンター・ウェンデルステッド氏は中継映像でもハッキリ聞こえる声で「次何か言ったら退場だからな!」と警告した。

 ブーン監督は特に反応せずグラウンド上に目を移していたが、直後にウェンデルステッド球審が「退場だ!」と突如絶叫。虚を突かれた指揮官はダグアウトを飛び出し、客席を指差した。どうやら自身の背後にいた米ファンが野次を飛ばしており、それが原因となった模様だ。同監督は「俺は何も言ってない!」と身振り手振りで猛抗議。しかし、「誰が言ったかは関係ない」と取り付く島もなかった。

 MLB公式サイトは「ブーンがアスレチックス戦の開始わずか5球で退場」と題する記事を掲載。試合後の両者の言い分を紹介した。ブーン監督は会見で「恥ずべきこと。ただただよくない」と退場処分に怒りを露わにした。先頭打者の死球時に不満を示したことについては、「ハンター、あなたも判定できるだろう」と、球審が自ら判定せずに一塁塁審に判断を委ねたことに抗議するものだったという。

 一方のウェンデルステッド球審は「あれはダグアウトの上のファンだったというアーロンの言い分は知っている。あれは彼ではなかったし、コーチ陣やアーロンがいたところではなかった」と認めた。しかし、「ブーンはヤンキースの監督であり、ダグアウトで起きたこと全てに責任がある」と主張。退場処分は妥当だったと考えているようだ。なおヤンキースは0-2で敗れた。

(THE ANSWER編集部)