ピレリは、日本GPを含む三つの大会に持ち込むタイヤコンパウンドを発表した。今回発表されたのは日本、中国、マイアミの3大会で、春開催となる日本GPではもっともハード寄りとなるC1、C2、C3のコンパウンドを使用することを決定している。

 中国GPとマイアミGPではその中間レンジのコンパウンドが選ばれ、C2、C3、C4コンパウンドが使用されることとなっている。

 三重県にある鈴鹿サーキットは平均速度が高速なレイアウトとなっており、その性質からこのコースは特にタイヤに厳しい場所であると理解されている。とはいえ、レース開催時期が4月上旬変更されたことで、イベントで予想される気温は例年日本GPが行われてきた10月前半よりも、かなり低くなる可能性が高いため、ピレリは今年の鈴鹿にミドルレンジのコンパウンドを選択するのではないかという期待もあった。

 しかしピレリは、グレイニングが問題になることを恐れ、非常に保守的なアプローチを選択した。もっともハード寄りな組み合わせが持ち込まれるとなれば、レースはシンプルなワンストップイベントになる可能性が高い。もちろん、セーフティカーが導入されるタイミング等によっては戦略に幅が出てくることはあるだろう。

 そして、2019年以来となる中国GPを迎えるピレリは、同地で近年のタイヤを試した経験はないが、中間レンジのコンパウンドを選択して未知の領域に足を踏み入れていることを決めたようだ。

 中国GPの舞台となる上海インターナショナルサーキットには高速コーナーが3カ所しかなく、そのうちのひとつは、1.2kmのバックストレートへと続くターン12だ。また、激しいブレーキングエリアがいくつかあるのも特徴で、フロントタイヤの外側に大きな負担がかかるレイアウトであると言える。

 ほとんどの場合、中国GPで最もダメージを受けるのは左フロントタイヤで、それは特に独特で非常に長いターン1だけでなく、ターン12でも同様だ。また、非常に長いストレートもピレリにとって問題となるだろう。マシンが超高速で走行している間にタイヤの温度が大幅に低下し、最適なオーバーテイクスポットであるヘアピンを通過するために必要なタイヤ温度を維持することが、ひどく困難になることが予想されるからだ。

 そして最後に、ピレリはマイアミGPに関して昨年同様となるC2、C3、C4タイヤコンパウンドの選択を維持すると発表した。今年のマイアミは過去2年間よりも気温と路面温度が高くなる可能性があるが、これが彼らにとっての懸念事項であることは確かだ。