メルセデスF1のチーム代表を務めるトト・ウォルフは、F1第3戦オーストラリアGPで素晴らしい結果を出したフェラーリ、フレデリック・バスール代表、カルロス・サインツを公に祝福し、競争の激しいF1の世界には、今も友情と思いやりの余地があることを示した。

 メルセデスのどちらのマシンもポイントを獲得せず、レースを完走することもなかった1日の終わりに、ウォルフは勝者に敬意を表す時間を取り、バスールと良好な関係にあることをうかがわせた。サインツの結果がF1にとってよいことだと考えているか尋ねられたウォルフは、バスールを称賛することを選んだ。

「まず、フェラーリについてうれしく思う。フレッドのためにもね。彼はこれに値する」

「昨年、我々は一緒にオーストラリアまで飛行機で向かった。エミレーツ航空のドバイからメルボルンへのフライトでは、彼は椎間板が飛び出てしまったせいで座ったり眠ったりすることができず、飛行機のなかで13時間立っていた」

 着陸後も、バスールにとって状況はよくならなかった。

「その後、彼のマシンの1台が最初のラップでクラッシュし、もう1台はうまくフィニッシュしたが、ペナルティを科されてポイントを失ってしまった。彼にとってその瞬間の状況は悲惨なものに見えた。フレッドはイタリア全土に対するプレッシャーを感じてきたが、今ではワン・ツーフィニッシュを果たした。そして、私が自分たちの状況を嫌うのと同じくらい、彼、フェラーリ、イタリアはこの結果にふさわしい」

 しかし、ウォルフはそこでやめることなく、オーストラリアGP優勝について思いやりのある言葉をかけた。

「カルロスはこれに値する。虫垂炎のことだけではない。彼は実質的に『もうここにはいらない』と言われたのだ。そしてすぐ、彼は病院を出て、ここに来て堂々たる勝利を収めた! 必要なときに人間の力で何ができるかが分かる」

 ウォルフがフェラーリのドライバーについて自発的に言及したことで、2026年にサインツがジョージ・ラッセルとペアを組む可能性について疑問が投げかけられたが、彼はその可能性を打ち消すようなことは何もしなかった。

「今日、彼はずば抜けていた。実際、週末を通してずっと素晴らしかった。これまでの状況を考えると、かなり驚くべきことだ。来年の契約を結んでいないドライバーがグランプリで優勝するのは珍しいことだが、カルロスは圧倒的なスタイルでそれを成し遂げた。もちろん彼は、我々にとって興味深いドライバーだし、マックス(・フェルスタッペン/レッドブル)が空けば彼もそうなるだろう。しかし、我々には大きな期待を寄せている傘下の若手ドライバーもいる」

「我々は急いではいない。そう言うことができる。我々は市場を注視しているし、一部のドライバーが早くに動いて他のチームと契約する可能性があることは分かっている。だが我々は落ち着いて、何が起きているかを見守ることにした。準備が整い次第、決断を下すつもりだ」