◇20日 J1第9節 湘南0―1神戸(レモンガススタジアム平塚)

 神戸が今季初の連勝を飾った。ただし、もどかしい時間帯が長らく続いた。前線にボールが収まらず、効果的な攻撃ができないまま、時間だけが過ぎていく。

 そこで神戸・吉田監督は後半17分、満を持して大迫をピッチに送り出した。その直後、大迫はファーストタッチでゴールネットを揺らしたが、直前のプレーがオフサイドと判定されてゴールは認められなかった。それでも別格の存在感を示した。

 そして後半のアディショナルタイム3分、大黒柱が大きな仕事をやってのける。カウンターからパスを引き出した大迫が右サイドを突破。クロスが相手DFに当たって空中に舞うと、自らそのボールを回収する。誰もがシュートを予測し、5人の相手DFが大迫にひきつけられた。次の瞬間、大迫はノーマークの武藤に絶妙のパス。これを武藤がきっちりと決めた。

 7日の横浜M戦の後半に負傷交代した大迫は、13日の町田戦はメンバー外。吉田監督は「本人とメディカルとしっかり話した中で、今日の時間が最大限だった。あの場面、あそこを狙えるのが彼のすごさ。打つのか、確率のいい方を選択するのか、そこもチームプレーに徹してくれている。素晴らしい活躍だった」と絶賛した。

 決勝ゴールを決めた武藤は「サコ君(大迫)は最適解を見つけられる選手。僕がいいところにいれば、出してくれると思ったので、見やすい位置に動いて(大迫の)視野に入るように心がけた。僕も打つんじゃないかと思ったけど、やっぱ出してくれたので本当に感謝している」と振り返った。

 さらにこう続けた。「大迫選手が入ってきてくれて、一気に空気感が変わって、何が何でも(点を)取んなきゃいけないという気持ちにもなった」。これぞ大黒柱。大迫抜きで競り勝ち、大迫復帰で劇的な勝利。昨季の覇者・神戸は出遅れながらも接戦をものにして連勝し、3位に浮上した。