東京・桜新町にある「OYATSUYA SUN(オヤツヤサン)」は、世田谷の落ち着いた雰囲気になじむ焼き菓子とコーヒーの店。スコーンやマフィンなど、素材と向き合ったシンプルで飾らないこの店ならではのおやつを求めて、わざわざ足を運ぶファンが多くいます。週末のおやつを目当てに、散歩の合間に立ち寄ってみませんか?

大通りに突然現れる、緑豊かな店構えが目印です

東急田園都市線・桜新町駅から用賀方面へ歩いて5分、さまざまな店が軒を連ねる大通りでふわっと甘い匂いを漂わせる「OYATSUYA SUN」。元は花屋だったという物件を生かし、ツタに覆われた外観がひときわ目を引きます。その緑や木目調が目にやさしく、都会のオアシスとして人々を温かく迎え入れてくれるようです。

丁寧に作られた焼き菓子が並ぶやさしい空間

大きな窓から自然光がたっぷり差し込む店内は、白を基調にした木の温もりが伝わるナチュラルな雰囲気。

スコーンやマフィンはペーパーに無造作に包まれて陳列され、どこか温もりが伝わってきます。さらにカウンターの上には沢山の商品が並び、クッキー、グラノーラ…と目で追うだけでワクワク気分が高まりますよ。

日々の暮らしに小さな幸せを届けてくれるおやつ

開業のきっかけとなったのは、オーナーの梅澤秀一郎さんが妻のちあきさんが作ったフォンダンショコラに感動して「このおいしさを多くの人に届けたい! これを看板商品にしてお店をやってみよう」と思ったのが始まり。それまで飲食業とは無縁でしたが、さまざまなタイミングが重なり、2011年に大きく舵を切りました。当初は奥沢に店がありましたが、ご縁に導かれて国立に移り、2020年に秀一郎さんの地元でもある桜新町へ。誠実なものづくりから伝わる温かな雰囲気に年々ファンが増え、県外の催事やイベントにも出店するなど人気店となりました。

コンセプトは「なくても困らないけれど、あったら人生が楽しくなるもの」。その日の気分で「どれにしよう?」と選ぶ時間ですら楽しくなったり、仕事や家事をもうちょっと頑張ろうという気持ちなったり、贈る相手の笑顔を思い浮かべながら手みやげを選んだり。なによりも、おやつというやわらかい言葉の響きは、子どもだけでなく大人までもウキウキと幸せな気持ちにさせてくれます。そんな何気ない日常に寄り添う「OYATSUYA SUN」のおやつは、日々を豊かにしてくれますよ。

シンプルに素材を大切にした定番おすすめ

北海道産の小麦粉とグラスフェッドバターを使い、素材の持ち味を活かした「OYATSUYA SUN」の焼き菓子。グラスフェッドバターとは牧草のみを飼料として育てられた牛のミルクからできるバターで、口当たりが軽く、ほど良いコクがあります。初めて訪れる方に、まず試してほしい定番商品はこちらです。

梅澤さん夫婦にとって"始まりのおやつ"となった「フォンダンショコラ」は、看板商品で必食です。カカオ分が違うチョコレートを2種類ブレンドして小麦粉を使わずに作ることで、生チョコのような濃厚感に。半熟に近い状態で焼き上げているので、なめらかな口どけを堪能できます。電子レンジで15秒温めると中心部が溶け、身も心もとろけるおいしさ! トッピングした大ぶりのピーカンナッツがアクセントになっています。

ふっくら焼き上がった大きめの三角形が目印のスコーンは特に人気商品で、表面はさっくり、中はしっとり。端っこのカリカリした食感もたまりません。「スコーンってパサパサ乾燥したイメージがあったけど、とても食べやすい」と絶賛するお客さんも多いそう。通年販売の「発酵バタースコーン」は、フランス産発酵バターのミルキーな甘味と香りをまっすぐに感じられます。

コーヒーとのペアリングがとにかく抜群なのが「はちみつレモンのパウンドケーキ」。生まれたきっかけは「浅煎りコーヒーが出始めた時に、海外の店がレモンケーキと合わせているのを見てかっこいいと思って」と梅澤さんは話します。噛みしめると、きめ細やかな生地が心地よくほどけてしっとり。はちみつの甘味とレモンの爽やかな香りが相性ばっちりです。

月一回程度開催されるイベントも見どころ満載です

月一回14:00〜21:00に開催する「オヤツナイト」は、塩気のある大人のおやつとワインの組み合わせを楽しめます。「スコーンの日」はスコーンのみを約8種類販売し、イベント限定商品の「シナモンロールスコーン」を楽しみに訪れるファンも多いのだとか。

テイクアウトが中心ですが、小さな店内にはカウンター席があり、天気がいい日は店前のベンチで食べるのも気持ちが良さそうです。丁寧に作られたおやつとコーヒーで、ほっとひと息癒されてみてくださいね。