アール・ヌーヴォーとアール・デコの両時代にわたって活躍したフランスの宝飾とガラス工芸作家、ルネ・ラリックの作品を展示する「箱根ラリック美術館」。こちらでは、併設のカフェレストランが「Hakone Emoa Terrace」としてリニューアル。スイーツビュッフェやラリックが内装を手がけたオリエント急行でのティータイムなど、ミュージアムらしい華やかな食の体験が楽しめますよ。

レストラン、サロンカー、パティスリーの複合施設

箱根湯本駅からバスで約30分。「箱根ラリック美術館」があるのは、すすき草原などで知られる箱根の仙石原エリア。美術館のゲートの中の一角、入館料不要で入れるのが2023年にオープンした「Hakone Emoa Terrace」です。カジュアルフレンチとセミビュッフェの「Restaurant Emoa」、実際にヨーロッパを走行していたサロンカー「オリエント急行」、専属パティシエが腕をふるう「Emoa patisserie」からなる複合施設です。

カジュアルフレンチのレストランで箱根でここだけのスイーツビュッフェ

大きなガラス窓ごしに広々とした芝生のガーデンが見渡せる「Restaurant Emoa」は、ナチュラルな雰囲気のレストラン。選べるメインディッシュと、前菜・サラダ・スイーツのセミビュッフェを組み合わせた「メイン&ビュッフェセット」で優雅なランチタイムが過ごせますよ。

ビュッフェには箱根西麓野菜を中心に使う約20〜25種類の前菜やサラダが並びます。ポークのパテに鶏のガランティーヌ、魚を使用した前菜、カラフル野菜のバーニャカウダなどお気に入りの一品を探してみましょう。ラリック家伝統のレシピから着想を得たメインディッシュは、厳選した食材を使ってシェフが腕をふるう3種類からセレクト。メニューは季節や日ごとに変わるので、当日のお楽しみに。

圧巻なのが「ジュエリースイーツビュッフェ」をテーマにしたスイーツのコーナー。ジュエリーデザイナーでもあったラリックの作品をイメージして、専属パティシエが手がけるオリジナルのスイーツが20種類以上並びます。実はスイーツビュッフェが楽しめるのは箱根エリアではここだけ。フレッシュケーキ、マカロン、各種の焼き菓子から季節のフルーツまで、好みのドリンクとともにゆったり楽しんでみて。

ラリックが内装を手がけた「オリエント急行」の車内でお茶会

「Hakone Emoa Terrace」だけのユニークな体験といえば「オリエント急行」も見逃せません。こちらでは1929年に開通し、パリと南仏を結んだ「コート・ダジュール特急」のサロンカー「ル・トラン」(4158E)を常設展示。後にパリからイスタンブールまで走る「オリエント急行」としても活躍した伝説的な車両です。

こちらでは、クラシカルなサロンカーの雰囲気を味わってもらおうと、人数限定・当日先着順のティータイムで車内を公開しています。当時のままの優雅な座席に身をしずめ、オリエント急行のロゴが入ったクラシカルな器で季節のスイーツと紅茶を。そんな特別なひとときを楽しんでみましょう。

1928年にこちらの車内装飾を手がけたのが、当時ガラスを使った空間装飾を手がけていたルネ・ラリックです。この1両だけで150枚以上のガラスパネルが貼りめぐらされているほか、照明器具なども当時のまま。木部に用いられている重厚なマホガニー、クラシカルなシェード、今は使われていないレトロでかわいい呼び鈴ボタンや個室、化粧室など、世界をとりこにしたデザイン空間を心ゆくまで眺めて。

こだわりのスイーツショップ「Emoa patisserie」も

「Hakone Emoa Terrace」の入口には小さなパティスリーショップもあります。こちらでは、レストランスイーツを担当する専属パティシエが手がけるケーキを販売。11時〜16時30分のカフェタイムにはレストラン店内でも味わえます。数量限定のため、早い時間に売り切れてしまうことも多いとのこと、ケーキを目当てにするなら早めの時間に訪れて。

いかがでしたか?「Hakone Emoa Terrace」内の各施設は「箱根ラリック美術館」の入館料不要で利用できますが、時間に余裕のある旅ならぜひミュージアムも見学を。ジュエリー、香水瓶、花器、室内装飾など約1500点のラリックコレクションから常時230点以上を展示していて、優美なラリックの世界をさらに深められます。