アドビが、初の2軸日本語バリアブルフォント『百千鳥』の開発を発表した。このフォントは、文字の字幅と太さを自由に変更することのできる初めてのフォント。なんと開発に15年もかかっており、近々、対応可能にアップデートされたIllustratorなどのアプリケーションなどと一緒に公開される。

太さ、文字幅が自由に変えられる初のフォント

手書き文字の看板などがあり、活字や写植があり、そしてデジタルフォントが作られてきた。デジタル化は誰もが簡単に、美しいデザインを作ることを可能にしたが、逆に表現の幅を狭めていた部分もある。

ポスターや看板などが手書きだった時代、そのスペースに合わせて絶妙に職人技で文字を描く人たちがいたが、デジタルのデザインでは、実はこういうことが難しかった。

これまでのデザインアプリでも、文字の幅を変えたり、太さを変えたりはできたが、実は幅を変えると線の幅が縦と、横で不ぞろいになっていた。たとえば、文字自体の横幅を130%にすると、横線に対して、縦線が130%になっていたということだ。

この問題に対応し、百千鳥の場合は、文字自体の幅を変えても、線の幅は変わらない。

つまり、決められたスペースに思った幅、太さの文字を嵌め込めるようにした初めてのフォントが、『百千鳥』(ももちどり)というわけだ。

小さな鳥がたくさん集まってる様子のようだということで、『百千鳥』という名前になったそう。

これまでの日本語フォントでは難しかった、ご覧のようなスペースにピッタリと幅や太さを調整したデザインを行うことができる。

動作を見てもらうのがいちばん分かりやすい……ということで、こちらの動画をご覧いただきたい。

初の日本語2軸バリアブルフォント『百千鳥』は、このように動作します。動画でご覧下さい。#アドビ #Adobe #フォントの日 #百千鳥 pic.twitter.com/xugc03u2OH

— ThunderVolt(ガジェットとテクノロジーのメディア) (@ThunderVolt_mag) April 10, 2024

この機能を実現させるために、4つのフォントマスターをデザインし、実現したとのこと。途方もない労力のかかる作業だ。

特に中心となるフォントを作らずに、中心のスクエアな状態のバランスをイメージしながら、細い、太い、ワイド、縦長……の4種類のマスターをデザインするのは至難の業だったそうだ。

ローンチは、対応可能にアップデートされたIllustratorなどのアプリケーションなどと一緒にするため『近々』とのこと。

少しレトロな感じもするが、モダンなデザインの中に組み込めば、親しみやすい個性的なデザインが可能とのこと。

リリースが楽しみだ。

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おまけ。

西塚さんのデザインらしく、百千鳥にはカラーの鳥の絵が用意されていて、この鳥、バリアブルの機能を使って動くようになっている。動画でどうぞ。

ちなみに、西塚さんのデザインらしく、百千鳥にはカラーの鳥の絵が用意されていて、この鳥、バリアブルの機能を使って動くようになっている。

動画でどうぞ。#アドビ #Adobe #フォントの日 #百千鳥 pic.twitter.com/I2onBaxHnr

— ThunderVolt(ガジェットとテクノロジーのメディア) (@ThunderVolt_mag) April 10, 2024

(村上タクタ)

 詳しくは、こちらのYouTubeライブをどうぞ。

著者:村上タクタ