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 子どもがある日突然、性にまつわる質問をしてきたり、 心配な行動をとったり。そんなときこそ性教育のチャンスかもしれません。産婦人科医の高橋幸子先生に、子どもに聞かれたら少し戸惑ってしまうような質問に対する「模範解答」を教えてもらいました。子育て情報誌「AERA with Kids」からお届けします。

■Q.赤ちゃんはどこからくるの?

 赤ちゃんがお母さんの子宮の中で育つことは言えても、「どこからくるか」はハードルが高いと思うかもしれません。でも、事実を淡々と説明するだけで、案外、子どもは納得します。「女性のおまたには、オシッコの穴、うんちの穴、 もう一つ『腟 (ちつ) 』という穴があるの。『腟』は赤ちゃんの通り道だよ。赤ちゃんが生まれていい大きさになったら、子宮がギューギュー縮んだり伸びたりして、腟から出てくるんだよ」でいいのです。できれば「腟から出る以外に、手術でお母さんのおなかから出てくることもあるよ」と、帝王切開のこともわかりやすく教えられるといいですね。

■Q.なんで、男の子にはおちんちんがあって、女の子はおっぱいがふくらむの?

 男女の体の違いに関する質問ですね。「男の子のおちんちんはペニスといって、大人になったら赤ちゃんのもとを半分、女性に届けるためのもの。女の子の胸がふくらむのは、将来、赤ちゃんが生まれた時にお乳をあげるためだよ」と、シンプルな説明でわかると思います。どちらもプライベートゾーンで、人前で出したり、自分以外が勝手に触ったりしてはいけないことも、あわせて教えましょう。もっと知りたそうなら、思春期になると心や体にさまざまな変化があることを説明してもいいですね。一度に全て話さなくても、日常的に小さな対話を積み重ねていくことが大切です。

■Q.「セックス」ってなに?

 まず、どうしてそれを知りたいと思ったのかを聞いてください。アダルト動画などを見たことがきっかけなら、「そういう動画は『搾取と暴力の性』かもしれないよ」と教えましょう。

 その上で、生殖のためのセックスについて、わかりやすく説明を。「男性がペニスを使って女性の腟の中に赤ちゃんのもとを半分届けるんだよ」などと話すのです。左手の指で輪っかを作り、右手の人さし指を通すなど、ジェスチャーを交えてもいいでしょう。小学生くらいになると、動物が交尾によって子孫を残すことは知っています。基本的に人間も同じだと言えば理解する子どももいます。

■Q.パパとママも 「セックス」したの?

 この質問を恐れて、性教育を躊躇する親御さんは多いようです。でも、全てをありのままに答える必要はありません。すでに子どもがセックスについて知っているなら、さらりと「したよ」と答えましょう。さらに「何回したの?」と聞かれたら、「あなたたちは2人きょうだいだよね。だから、最低2回はしたよ。とてもプライベートなことだから、それ以上は答えたくないよ」と言っていいのです。親にもプライバシーがあることを伝え、「もちろん、あなたもプライベートなことを言いたくなかったら、答えなくていいよ」と教えましょう。「性教育=性の話はなんでもオープン」とは限らないのです。 

■Q 「エッチなDVD」 ってなに?

 性には、生殖以外の側面があることを教える必要がありますね。大好きな人同士がコミュニケーションとして行う「ふれあいの性」があり、それは心地よいこと。とてもプライベートな行為だから、人に見られないようにするものと説明しましょう。その他に「搾取と暴力の性」があることも伝えます。「『エッチなDVD』は、本当はプライベートであるはずの性を映像商品にしたもの で、搾取と暴力の性かもしれないね」と言えば伝わると思います。

(取材・文/越膳綾子)