100切りを目指すアマチュアにとって、非常に重要になるのが「スタートホール」。最初のホールで大叩きしてしまうと、「今日のラウンドは終わった」という気分になってしまいます。そこで、実際のレイアウトから「ボギーで収める」マネジメントをインドアゴルフレンジKz亀戸店の筒康博ヘッドコーチにしてもらいました。

「練習どおり」にできないのがスタートホール

 よほどラウンドに慣れた競技ゴルファーでもない限り、スタートホールを無難にボギーで収めるのは難しいことです。今回は実際のコースを見ながら「100切り」するためのコースマネジメンントを行ってみたいと思います。

100切りを目指すゴルファーにとってスタートホールを「ボギーで収める」マネジメントは重要。実際のコースレイアウトを使って教えてもらった
100切りを目指すゴルファーにとってスタートホールを「ボギーで収める」マネジメントは重要。実際のコースレイアウトを使って教えてもらった

 茨城県石岡市にある「JGMやさと石岡ゴルフクラブ」は、各ホールの変化に富んだワングリーンの丘陵コース。1番パー4(ホワイトティー・355ヤード)はスタートホールとしてはヤーデージの数字以上に「ボギーで収める」のが難しいホールになっています。

 まずティーイングエリアから見た「景色によるプレッシャー」に負けてしまう人が非常に多いレイアウトになっています。やや打ち上げているため、実際の距離よりも長く感じやすく、左サイドには大きなバンカー、右サイドには隣接するホールとの間に池があり「真っすぐ打たなければいけない」という心理が働き狭く感じてしまいます。

 しかし、「ボギーで収める」には3オン2パットでいいのでスタートホールから「ストレートのナイスショット」を打つ必要は全くありません。

「ボギーで収める」には難しいJGMやさと石岡ゴルフクラブの1番ホール
「ボギーで収める」には難しいJGMやさと石岡ゴルフクラブの1番ホール

 このホールで注意すべきは、右サイドにある「こんもりした林」です。キャリー220ヤード以上の飛距離があれば、この林を含め右サイドのトラブルは関係なくウェッジでセカンドショットが打てます。

 キャリー220ヤード以内の飛距離なら、ボギーオンが確実に狙える「林より左」サイドがベターなルートです。コースを狭く感じたまま「曲げたくない」と思いながらショットすると、自らプレッシャーをかけ過ぎてナイスショットの確率を下げかねません。

芝目のあるワングリーンでは3パットを防ぐ練習が大切

 JGMやさと石岡GC1番ホールは、筑波山からの影響で芝目に特徴のある傾斜が少ない大きめのグリーン。セカンドショットで欲を欠かず「ボギーオン」できそうな所まで打てれば、サードショット以降で注意するのは遠く乗った場合の3パットです。大きなワングリーンのゴルフ場でラウンドする場合は、スタート前の練習グリーンで長めのパットをたくさん打っておくといいでしょう。

ピンから遠くに乗った時の「タッチ」が重要になるJGMやさと石岡GCの芝目のある大きなワングリーン
ピンから遠くに乗った時の「タッチ」が重要になるJGMやさと石岡GCの芝目のある大きなワングリーン

 しかし、ピンフラッグが端にある場合には注意が必要です。バンカーに自信がある人は気にする必要がないのですが、大きなグリーンの周りには3つのガードバンカーが待ち受けています。

 ベタピンを狙い過ぎて3打目をバンカーに入れてしまうと、「ボギーで収める」ことが難しくなります。特にスタートホールのガードバンカーは「ハザード」と考え、ピンがどこにあってもグリーンセンターに乗せるつもりなら、ボギーで収まる確率は高くなるはずです。

距離が短いスタートホールこそ「消極的なマネジメント」は裏目に出やすい

 インスタートのJGMやさと石岡GC10番ホールは、ホワイトティーが338ヤードと距離も短く、トラブルは左サイド(林と池とバンカー)だけです。

 中上級者にとっては「右めに打てばいい」やさしいホールですが、ドライバーショットでスライスやプッシュアウトの不安のある人は、大きく右に曲げると林に入ってしまうという状況でのマネジメントに苦労します。

右サイドの林を越えるとワンペナになるが、傾斜で戻って来ることも多い距離の短いホール。視覚的なプレッシャーにより、スライサーでも左に引っ掛けてしまうトラブルになりますい
右サイドの林を越えるとワンペナになるが、傾斜で戻って来ることも多い距離の短いホール。視覚的なプレッシャーにより、スライサーでも左に引っ掛けてしまうトラブルになりますい

 実際には右奥の林方向に飛んでも傾斜でセミラフまで落ちて来る場合が多く、かなり右方向に行かない限りペナルティーにならないです。一方、左サイドの池や林、フェアウェイバンカー方向に行ってしまうと「ボギーも危ない」状況になってしまいます。

 距離が短くストレートなホールにありがちな、「センター狙いで気楽に」などのコースアドバイスになりそうですが、実際にティーイングエリアに立ったときには「安全かつ積極的に狙う」思考で望まないと、左のトラブルに吸い込まれてしまう恐れがあるので油断は禁物です。

 ティーショットさえ前が開けている場所に打てれば、残り距離も短くグリーン周りのハザードや傾斜もあまりないので、「ボギーで収める」プレーがしやすくなっています。

 スタートホールでは結果ばかりに気持ちが向き、ミスの原因をスイングに求めがちです。「ボギースタート」で必要なのは、コースが求めるショットを考えたうえで、その日の自分の傾向を予想しながら、「そこそこの結果」が出るマネジメントを行うことなのです。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。

猿場トール