今年のマスターズはスコッティ・シェフラーの大会2勝目で幕を下ろしました。シェフラーの快進撃はテーラーメイドがカーボンフェースドライバーを大々的にデビューさせた2022年から始まっています。

「ステルス プラス」を使い始めて2カ月で4勝

 マスターズで2度目の優勝を飾ったスコッティ・シェフラー。シェフラーの経歴と最新セッティングを調べると、テーラーメイドのカーボンウッドとともに快進撃が始まったことが分かりました。また、スペックにはかなり細かいこだわりがあるようです。

ドライバーは常にテーラーメイドの新作にかえて結果を出し続けているスコッティ・シェフラー 写真:GettyImages
ドライバーは常にテーラーメイドの新作にかえて結果を出し続けているスコッティ・シェフラー 写真:GettyImages

 今では考えられないですが、2018年にプロ転向したシェフラーは下部ツアーに2年間いました。20−21シーズンからPGAツアーに昇格すると、トップ10には何度も入りましたが、なかなか優勝には届きませんでした。

 初優勝は22年のWMフェニックスオープン。この試合ではフェースにカーボン素材を使用した「ステルス プラス」のドライバーを使っていたことも話題になりました。初優勝から3週間後のアーノルド・パーマー招待でも同ドライバーを使って早くも2勝目。さらに3週間後のWGCデルマッチプレーにも勝ち、初優勝から約2カ月で、あっという間に世界ランキング1位になりました。

 その勢いのまま、4月のマスターズでメジャー初制覇。その時に使っていたのも「ステルス プラス」でした。

 翌年、シェフラーはドライバーを「ステルス2プラス」にしてWMフェニックスオープンで2連覇を達成すると、3月の準メジャー、ザ・プレーヤーズ選手権でも優勝。21−22シーズンに続き、22−23シーズンもPGAツアーの賞金ランキングで1位になりました。

 今年はドライバーを「Qi10」にすると、3月に2週連続優勝、4月には2度目のマスターズ制覇を達成しました。ドライバーはロフト8度のヘッドを調整して8.25度に。長さは45インチ、バランスはD4にしています。

 シェフラーの経歴を振り返えると、その快進撃はテーラーメイドが初代カーボンウッドとして発売した「ステルス」から始まっています。

 一方、シェフラーが初優勝した頃から使い続けているのがユーティリティー、アイアン、ウェッジです。ユーティリティーはダンロップの「スリクソン Z U85」、アイアンは19年モデルの「P7 TW」、そしてウェッジは「SM8」と「ボーケイ ウェッジワークス」を使い続けています。

 シェフラーはジュニア時代から22年前半までナイキの「VRプロ フェアウェイウッド」を使い続けており、気に入ったクラブがあればずっと使い続ける選手でした。

 そして、シェフラーのマスターズ制覇に大きく貢献したのが「スパイダー ツアーX」です。3月のアーノルド・パーマー招待で使い始めると2位に5打差をつけて圧勝。昨年後半からシェフラーはパターをよくかえていましたが、ほとんどがブレードタイプ。22年から23年のPGAツアー6勝はすべてブレード型のパターでした。それをマレット型にしたことでパッティングのスタッツが大幅に改善。このパターについてシェフラーは次のように語っています。

「このパターは本当に構えやすい。ラインを狙いやすいし、フェースのセンターも分かりやすい。とてもシンプルなことだけど見た目が素晴らしい」

「スパイダー ツアーX」にはトゥルーパスアライメントという太い白線のラインが入っており、そのアライメントデザインを気に入っているようです。ちなみにシェフラーが使っているL字ネックの「X」は日本未発売モデル。ライ角は72度になっています(ノーマルモデルは70度)。

2024 スコッティ・シェフラーの最新セッティング

1W:テーラーメイド Qi10(ロフト/8.25度 シャフト/ベンタス ブラック7-X)3W:テーラーメイド Qi10(ロフト/15度 シャフト/ベンタス ブラック8-X)3U、4U:スリクソン Z U85(ロフト/20、23度)5I-PW:テーラーメイド P7TW(シャフト/ダイナミックゴールド ツアーイシュー)AW、SW:ボーケイ デザイン SM8 (ロフト/50、56度)LW:ボーケイ デザイン ウェッジワークス(ロフト角/60度)パター:テーラーメイド スパイダー ツアーX

野中真一