病気やけが、精神の疾患、家族の介護など、突然、会社を退職しなければならなくなるケースは多々考えられます。会社を退職するとなれば、収入源が断たれるため、金銭的な不安を抱えるかもしれません。   そこで、ここでは、会社を退職したあとに利用できる、さまざまなお金の制度をいくつか紹介します。

退職後に使えるお金の制度をピックアップ

退職後に利用できるお金の制度はいくつかあります。このような制度の情報を、知っているのと知らないのとでは大違いです。いざというときには役に立ちますので、ここで覚えておきましょう。
 

雇用保険

雇用保険の被保険者だった方が受給できる給付金があります。失業手当や失業給付金といった呼ばれ方をすることもあります。
 
雇用保険の給付金を受給するには、失業状態であることが前提になります。次の就職先が決まっているとか、転職の意思がないという方は受給できません。給付金を受給するには、受付票や離職票などの必要書類を準備したうえで、ハローワークで手続きをする必要があります。
 

住民税減額・免除制度

住民税は、誰もが納めなくてはならない税金の一種です。前年の収入に応じて納税額が決まりますが、退職して収入がなくなった方だと、納められなくなるケースも考えられます。
 
このようなとき、住民税減額・免除制度を利用することが可能です。なんらかの理由によって、住民税の納税が難しくなった方が利用できます。ただ、自己都合で退職したケースでは、減免が認められないこともあるため、注意が必要です。自治体によっても適用要件が異なりますので、事前に確認しておきましょう。
 

教育訓練給付金

教育訓練給付金は、厚生労働大臣が定める教育訓練を、受講・修了した方が受給できる給付金です。一般教育訓練給付金や専門実践教育訓練給付金などがあり、資格の取得に要した費用の一部を援助してもらえる制度です。
 
なお、所定の講座を修了しないと給付を受けられないケースもあるため、注意しましょう。また、給付金の種類によって、満たすべき条件も変わります。
 

国民年金保険料の免除・納付猶予制度

さまざまな理由で、国民年金保険料の支払いが困難になった方が利用できる制度です。経済的に困窮し、とてもではないが保険料を支払えない、といった方を対象に、保険料支払いの免除や納付が猶予されます。
 
制度を利用するには、申請が必要です。ただ、申請をしたからといって、必ず保険料の支払いが免除・猶予されるわけではありません。事前に所得審査が行われるため、認められない可能性もあります。
 

求職活動支援費

求職活動支援費とは、失業保険の基本手当を受給できる資格を持った方が、利用することができる制度です。就業の促進を目的とした制度であり、短期訓練受講費や広域求職活動費などの種類があります。
 
遠隔地での企業説明会に参加するための交通費を支給してもらえたり、資格取得に要した費用を上限10万円まで支給してもらえたりする制度です。支援費ごとに、細かく条件が決められています。
 

自立支援医療制度

自立支援医療制度とは、心身に障がいのある方の医療費負担の軽減を目的に設立された制度です。精神疾患の治療が必要な方、身体に障がいのある方などが対象です。
 
会社でパワハラやセクハラに遭い、うつ病などを患ってしまったというケースであれば、自立支援医療制度を利用できる可能性があります。また、PTSD(心的外傷後ストレス障害)やパニック障害なども対象となります。
 
制度を利用するには、必要書類をそろえて、自治体の窓口へ提出しなくてはなりません。申請書や診断書、保険証、マイナンバーカードなどが必要です。自治体によって、必要書類の種類は変わりますので、事前の確認が必要になります。
 

制度を賢く活用して退職後の生活不安を軽減しよう

退職して収入が断たれると、精神的にも不安になりがちです。経済的な負担を軽減できる、さまざまな制度が用意されていますので、このような制度があることを覚えておくと、いざというときに役に立ちます。
 
また、十分な貯蓄がなく、次の就職先も決まっていないのならば、今一度、「退職しても大丈夫かどうか」について、考えてみることも大切です。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー