2025年新卒予定の学生の就職活動はすでに始まっています。2025年新卒予定の就職活動市場が「売り手市場」であると聞いて、大手企業を目指す方もいるでしょう。   そこでこの記事では、2025年新卒予定の就職活動を取り巻く状況と、大手企業の平均給与について調べてみました。

2025年新卒予定は売り手市場?

2025年新卒予定の就職活動市場は、学生に有利とされる売り手市場が続くと見られています。売り手市場とは、就活生(労働力を売る側)の数よりも、新卒者の採用を希望する企業(労働力を買う側)が多い状態を指します。
 
株式会社リクルートの研究機関である「リクルートワークス研究所」が行った調査によると、2025年の大卒・大学院卒の新卒採用見通しは、企業の規模、業種にかかわらず「増える」(15.6%)が「減る」(4.8%)の回答を上回り、採用意欲の高さが見てとれます。
 
売り手市場が続いている理由は、少子高齢化のほか、コロナ禍が落ち着き、経済が回復基調であるにもかかわらず、続く人手不足です。企業はより多くの求人を出すようになり、一人の学生に対して複数の企業が内定を出す状況が続いています。
 

大手企業の平均給与は?

ここで、企業規模別の平均給与を見てみましょう。表1は、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」による、大卒の平均給与、賞与、年収のおおよその金額です。
 
表1 

企業の規模 平均月給 平均年間賞与 平均年収
10人〜99人 34万3700円 76万2600円 488万7000円
100人〜999人 37万7400円 105万8100円 558万6900円
1000人以上 43万3500円 155万300円 675万2300円

※令和4年「賃金構造基本統計調査」より筆者作成
 
同じ大卒でも、従業員数1000人以上の企業と、10〜99人の企業とでは、平均月給に約9万円の差があることが分かりました。新卒の月給では、1000人以上の企業が23万4400円、10〜99人の企業が22万円であり、それほど大きな差はありません。そのため、入社後に、年数がたつにつれて差が広がっていくと考えられます。
 

大手企業は買い手市場

売り手市場であっても、大手企業に就職したいと考える就活生は多く、就職するには競争を勝ち抜く必要があります。
 
2023年(令和5年)のリクルートワークス研究所の調査によると、2024年3月卒の場合、300人未満の企業の求人倍率が6.19倍であるのに対して、1000〜4999人の企業では1.14倍、5000人以上の大手企業では0.41倍です。
 
この数字は、売り手市場といわれるなかにあっても、大手企業に限っては買い手市場であることを示しており、2025年卒の場合も、この状況は続くと予想されます。
 

大手企業の平均給与は高いが、競争率も高い

大手企業は、中小企業と比較すると、平均給与の面で優位にあります。
 
しかし、大手企業を希望する就活生は多く、競争率は、売り手市場といわれる現在の就職活動市場においても高いため、内定をもらうには多くのライバルに勝たなくてはなりません。
 
大手企業のみを志望した結果、なかなか内定をもらえず、焦ることになる可能性もあります。就職活動においては、企業の規模や給与だけにこだわらず、視野を広げてみることも大切です。
 

出典

株式会社リクルート リクルートワークス研究所 
 ワークス採用見通し調査(新卒:2025年卒) 2025年卒者の新卒採用見通し(大学生・大学院生)(3〜5ページ)
 第40回 ワークス大卒求人倍率調査(2024年卒)図表5 従業員規模(4区分)別 求人倍率の推移(6ページ)
総務省 情報通信白書 令和4年版 情報通信に関する現状報告の概要 第1部 特集 情報通信白書刊行から50年〜ICTとデジタル経済の変遷〜 第1節 今後の日本社会におけるICTの役割に関する展望(1)生産年齢人口の減少
総務省統計局 政府統計の総合窓口(e-Stat)令和4年賃金構造基本統計調査
 一般労働者 産業大分類 2022年 表番号1 学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
 一般労働者 新規学卒者 2022年 表番号1 新規学卒者の学歴別所定内給与額
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー