日本では、関東地域(東日本)が50ヘルツ、関西地域(西日本)が60ヘルツの定格周波数を採用しており、一部混在している地域もあります。   この違いは、明治時代に発電機を輸入する際に、東京においては50ヘルツ、大阪では60ヘルツの発電機を使ったことに起因しているといわれています。   今回は、周波数の違いによって、私たちの生活に影響することはあるのかについてと、電気代は変わるのかについて調べてみました。

そもそも定格周波数とは何?

コンセントから供給される交流の電気は、直流とは異なり、波のように動きを繰り返します。
 
1秒間の波の数が電源周波数になり、単位は「Hz(ヘルツ)」です。
 
50ヘルツは1秒間に50回、60ヘルツは1秒間に60回電気の波が変化することを表します。
 
電化製品の中には、50ヘルツまたは60ヘルツのどちらか一方で使うことを基準に作られたものがあります。
 
これらを異なる周波数で使った場合は、性能が低下して故障の原因となったり、火災の原因となったりするため、注意が必要です。
 
移転や引っ越しなどにより周波数が変わる場合には、周波数が変わっても、それまでの電化製品が使用できるかを確認しておきましょう。
 

周波数による電気代の違いはある?

一般的には、周波数が高いほど、電力の消費は増えると考えられます。
 
これは、周波数が高くなると、1秒あたりの電流の変化が多くなり、その分の消費電力が増えるためです。
 
消費電力が50ヘルツ:44ワット、60ヘルツ:47.5ワットの扇風機の例を見てみましょう。
 
扇風機はモーターを使用している製品であるため、50ヘルツと60ヘルツでは回転速度が変わります。60ヘルツのほうが回転エネルギーが大きく、消費電力も大きくなります。
 
仮に1日に1時間使用するとして、電気代を計算すると、50ヘルツでは約1.36円、60ヘルツでは約1.47円となります。
 
30日間使用した場合の電気代は、それぞれ約40.9円、約44.2円です。
 
また50ヘルツ:400ワット、60ヘルツ:445ワットの洗濯機の場合、1日1回(定格の42分)の使用で電気代は8.68円、9.66円となり、30日間ではそれぞれ260.4円、約289.7円です。
 
1年間の使用で、352円ほどの違いが出ることになります。
 
このようにわずかですが、計算上は電気代に違いが出るといえます。
 
しかし実際の製品では、製品の設計や効率、損失などの多くの要素が影響します。
 
したがって周波数が低いからといって、消費電力が低くなるとは限りません。
 
また一部の電子機器では、低い周波数で動作させると性能が低下するため、余分な電力を必要とすることもあります。
 
これらの機器では、周波数を下げても、消費電力は低下しないことを知っておきましょう。
 

周波数が違うと使えない家電に注意

古い家電製品の中には、50ヘルツおよび60ヘルツの周波数のどちらか一方に合わせて作られているものがあるため、注意が必要です。
 
例えば、電子レンジや蛍光灯、洗濯機などがその代表的な例ですが、最近では、インバーターを内蔵した「ヘルツフリー」の製品も増えてきました。
 
またテレビやラジオ、パソコン、白熱灯などは、基本的にどちらの周波数でも大丈夫です。
 
エアコンや冷蔵庫、扇風機なども使用できますが、性能が変わる可能性があるため、使用する際には、説明書などで確認しましょう。
 

周波数によりわずかだが電気代に違いが出る

関東と関西では、定格周波数に違いがあります。
 
周波数は電気の波が1秒間に動く回数で、関東では50ヘルツ、関西では60ヘルツが採用されています。
 
以前は、50ヘルツおよび60ヘルツ専用となっている電化製品が多くありましたが、現在では、周波数を気にすることなく使用できる製品が増えています。
 
計算上は周波数により、わずかながら消費電力に違いが出る製品があります。
 
気になる場合は、節電を心がけることはもちろんですが、電力会社や電力のプランを見直してみると効果的でしょう。
 

出典

公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会 よくある質問Q&A Qその他の質問 Qカタログなどに載っている電気代はどのようにして算出するのですか?
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー