25日の日経平均は3日ぶりに反発。118.45円高の30801.13円(出来高概算12億6000万株)で取引を終えた。前日の米国株の下落を映して売り先行で始まったものの、米半導体大手エヌビディアが時間外取引で急騰したことを受け、アドバンテス<6857>や東エレク<8035>など半導体関連株が急速に上げに転じたことが投資マインドを改善させ、日経平均はプラスに転じ前場中盤にかけ上げ幅を広げると、後場の取引開始直後には30889.98円まで上昇した。また、円相場が1ドル=139円台後半まで円安が進んだため、輸出関連株の一角もしっかりしたことも好影響を与えた。



東証プライムの騰落銘柄は、値下がり銘柄が1000を超え、全体の6割近くを占めた。セクター別では、電気機器、金属製品、ガラス土石など8業種が上昇した半面、海運、銀行、保険、陸運、繊維製品など24業種が下落し、その他金融が変わらずだった。指数インパクトの大きいところでは、アドバンテス、東エレク、信越化<4063>、エーザイ<4523>が堅調で、アドバンテスと東エレクの2銘柄で日経平均を約210円押し上げた。一方、第一三共<4568>、ファーストリテ<9983>、KDDI<9433>、リクルートHD<6098>が軟調だった。



前日の米国市場は、債務上限問題を巡る政府と野党・共和党の交渉に進展がみられず、先行き警戒感からリスク回避の動きが強まり、主要株価指数は続落した。これを受けて、東京市場も売りが先行して始まった。ただ、米国市場の取引終了後に、市場予想を上回る先行きの好業績見通しを示した米半導体大手エヌビディアが時間外取引で急騰。東京市場でも朝安の半導体関連株中心に切り返す銘柄が増えた。関係者からは「半導体の国内生産・開発は、経済安全保障にとって死活問題」と受け止める向きが多く、国策関連としての側面もあり、人気が継続している。一方、中国での新型コロナウイルスの感染再拡大を背景にインバウンド(訪日旅行者)需要の伸び悩みを警戒して、小売や空運、陸運などの銘柄には売りが続いた。



日経平均は、スピード調整のためにも目先的には利食い売りをこなしながらの展開となりそうで、30000円から31000円のレンジ内での動きが続きそうだ。一方、米国では、1-3月期のGDP改定値やシカゴ連銀全米活動指数、カンザスシティ連銀製造業活動指数などの経済指標の発表が予定されているほか、リッチモンド連銀のバーキン総裁やボストン連銀のコリンズ総裁の発言機会も予定されている。米国の債務上限問題、利上げ動向に関する発言内容を見極めたいとの考える向きが多いこともレンジ内での動きにとどまらせる要因とみられる。