LINEグループで特定の子どもに悪口を言う、LINEいじめ。子どもにスマホを持たせる際、自分の子が被害に遭わないか心配になることもあるのではないでしょうか。今回はそんなLINEいじめの疑いから、意外な真実を知ってしまった経験のある私の知人Oさんから聞いたお話です。

突然の来訪者

Oさんは中学生の息子と旦那さんとの3人暮らし。

息子は少し内向的な性格ではあるものの、信頼できる友人も数人いて、充実した学生生活を送っていました。

ある日の夕方、Oさんが中学生の息子と家にいると、いきなりインターホンが何度も鳴らされました。
「だ、誰……?」
モニターを見ると、数回PTAの集まりで顔を合わせたことのある、息子のクラスメイトであるTくんの母親が映っています。
「どうしたのかしら」
特に親しいわけでもないのに突然訪ねてくるなんて、とOさんは不思議に思いながら玄関のドアを開けました。

「あの、何か……?」
「何かじゃないわよ、お宅は一体どんな教育してるの!? 」
Tくんの母親は、すごい剣幕でOさんに詰め寄りました。

LINEいじめを疑われたけれど

「お宅の息子がLINEグループでうちの息子の悪口を言ったのは調べがついてんのよ!!! うちの子は傷ついて学校に行きたくないって言ってるんだから、慰謝料払ってもらうわ!」
「LINEグループ?」
Oさんの頭の中は、?マークでいっぱいになってしまいました。
「うちの子、スマホもガラケーも持たせてないんですけど……何かの誤解じゃないかしら」
Oさんはまだ息子にスマホを持たせておらず、次のテストで成績が良ければ買ってあげる約束をしていたのです。
「え、そうなの!? じゃあいいわ!」
Tくんの母親は謝りもせず、そのまま立ち去ってしまいました。
「一体何のことやら……何か心当たりある?」
「いや、全然ない。そもそもTと関わりないし」
息子もTくんの母親の様子にぽかんとしています。

その後Oさんの元に他のクラスメイトの母親から連絡がきて、どうもTくんの母親はクラスメイト全員の家を回って犯人捜しをしていたことがわかりました。

衝撃の真相

「いきなり家に来られたのはびっくりしたけど、ほんとにLINEいじめがあったら大変よね」
そう思っていたOさんの元に、数日後に緊急保護者会をするという連絡が入ってきました。

Tくんの母親がクラスメイトの家を回っていたことが担任の先生の耳に入ったようで、スマホやガラケーを持っている生徒全員に事情を聞いて調査をし、結果を保護者会で報告するとのことでした。

「うちの子は関係ないかもしれないけど、一応出席しなきゃね」
Oさんは数日後、保護者会に参加するために息子の通う中学に向かいました。

「え、Tさんいないの!?」
なんと、その保護者会を開く発端となったTさんが来ていません。
「今回の騒動についてですが……」
間もなく担任の先生が、調査結果について話し始めました。

先生が生徒ひとりひとりに事情を聞いても、誰一人としてTくんの悪口を言っているLINEグループの存在を知らないこと、そして当の本人であるTくんも、「誰かにLINEで悪口を言われている」と言った覚えはないとのことでした。

「何それ、じゃあ本当にTくんのお母さんの誤解ってこと?」
Oさんが隣りにいたクラスメイトの母親に聞くと、小声でまさかの事実がささやかれました。
「実はTさん、慰謝料目当てで大騒ぎしたんじゃないかって話なのよ」
「慰謝料!?」
「そうなの、あの剣幕でしょ? 怖くなってお金払っちゃった人がいるみたい」
どうやらTさんがあまりに大騒ぎしたため、その場を収めるためにお金を渡した保護者がいるようでした。

その後お金を払った保護者とTさんの間で話し合いの機会が設けられ、事実無根ということでお金は返金されましたが、Tさんはずっとふてくされていた様子で、謝罪の言葉もなかったそうです。

LINEいじめは絶対に許されない行為です。Tさんは息子のことが心配だっただけかもしれませんが、もしいじめがなかったにもかかわらず大騒ぎして、お金をせびろうとしたなら、それも許されない行為ですよね。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子