いろんな物の価格が上がるなか、人件費を抑えるために突飛な方法をとったレストランが米国にあります。いまニューヨークでちょっとした物議を醸しているのが、従業員がリモートで支払いの対応を行う店です。

↑人件費を抑えるための経営判断とは?

 

フライドチキン専門店の「サンサンチキン」では、店に入るとレジには大きなスクリーンが置かれ、画面越しにスタッフが出迎えてくれます。これは、ZOOMを利用してスタッフがリモートで対応してくれるシステム。対面で接客するところを、画面を通して会話して対応するのです。

↑リモート接客でおもてなし

 

画面の向こうにいるスタッフは、フィリピンにいるとのこと。現地メディアではこの店の経営者にコンタクトを取ろうと試みましたが、それはかなわなかったそうです。ただ、ニューヨークの最低賃金は時給16ドル(約2450円※)。これに対して、フィリピンの平均時給は3.75ドルとのこと。つまり、リモートでフィリピンのスタッフを雇うことで、人件費を大幅に抑えられるのです。明らかにこれがこのシステムを導入した最大の目的でしょう。

※1ドル=約153円で換算(2024年4月11日現在)

 

効率性を求めたこの斬新なシステムに、店を訪れた客はかなり驚いているようです。目新しさを楽しむ人がいる一方で、「その場に人がいないと、誰かとつながる要素が失われる」「(リモートスタッフの導入で)誰かの仕事を奪っているかもしれない」という声も。

 

さらに、客を困惑させているのがチップの存在。この店では、清算時に最大で18%のチップを求められるそうで、「その場にいないスタッフに、チップを払う?」と戸惑う客がいるかもしれません。しかし、同じグループ会社の「ヤソキッチン」という店では、「40ドルのチップをもらったことがある」というスタッフもいるのだとか。

 

リモートワークが当たり前になった現代だからこそ生まれた、この新しいシステムについて、「半年から1年以内に、これがAIアバターになる」と予測する人もいます。人手不足が進むサービス業で、人件費も上がるなか、こんな取り組みが一般化していくのかもしれません。

 

【主な参考記事】
New York Post. This NYC chicken joint employs cashiers Zooming in from the Philippines — and still wants you to tip!. April 9 2024