ポルトガルリーグ2部・オリベイレンセの元日本代表FW三浦知良(57)が18日、スポーツ報知のオンライン単独取材に応じ、17日に今季限りでの引退を発表した元日本代表MF長谷部誠(40)=フランクフルト=から10日ほど前に報告を受けていたことを明かし、17シーズンもドイツでプレーしたのは「日本人の誇り」などと労(ねぎら)った。指導者への道を進む元日本代表主将に向けて「欧州のトップリーグで監督をやってほしい」と期待を込めた。

 海外挑戦先駆者のカズが、長谷部の存在と過ごした時間を「誇り」と何度も表現した。引退は10日ほど前に本人から報告を受けた。「欧州のトップリーグは、本当に1シーズン活躍できるかどうかの厳しさがある。彼は17シーズンやっている。それは本当に日本人にとって誇り」と活躍をたたえた。

 カズと長谷部は他の海外組も交え、シーズンオフに定期的に食事会を開催し、親交を深めてきた。今年1月初旬には長谷部がポルトガルまで訪ね、練習する姿も見てもらった。「1泊2日で来てくれた。2日間、ほぼ朝から夜まで一緒にご飯を食べて。ポルトにも観光に行ったりして。サッカーからプライベートの話まで。いろんな話ができた」。カズは志願して空港までの往復1時間のハンドルも握った。理由は「僕にとって、そのハセとの時間は(無駄にするのは)もったいない」から。カズは「本当に勉強になった」と元日本代表主将の経験に耳を傾けた。

 その2日間の思い出話で出たのが、長谷部のJリーグ最終戦だった。07年12月1日のJ1最終節。横浜FCのカズは、リーグ連覇に王手をかけた長谷部所属の浦和と対戦し、2人とも先発した。横浜FCは既に降格が決まっていたが、1―0で勝ち、胴上げを阻止した。当時、カズは今の長谷部と同じ40歳。「偉大な選手のJリーグでの最後の試合を、僕自身があそこで一緒に戦えた。非常に誇りに思います」と回想した。

 今後は指導者の道を歩む長谷部には、欧州で指揮する姿を期待する。「いろんな監督の下で、欧州のトップでやってきた経験は日本の財産になっていく。日本でやるのかドイツでやるのかもわからないし、欧州のどこでやるかもわからない。でも、できたら欧州のトップリーグで監督をやってほしい」。新たな門出へ、幸運を祈った。(田中 孝憲)