演劇ジャーナリスト・伊達なつめさんのおすすめ作品をご紹介。今回は、『カラカラ天気と五人の紳士』、『帰れない男〜慰留と斡旋の攻防〜』、『シンデレラの家』の3本をピックアップ!

シス・カンパニー公演
『カラカラ天気と五人の紳士』

シス・カンパニー公演 『カラカラ天気と五人の紳士』

ひたすら空虚な会話を延々と続け、その無意味さ滑稽さの向こうに、底なしの絶望や不合理の気配を漂わせる。不条理劇の王様・別役実の作品は、低体温系の演技がお約束のイメージだけど、なんでしょう、この熱量高めな濃いキャスティングは。棺桶を担ぐ5人の男と通りかかる2人の女のシュールな掛け合いに新たな魅力が発見できそう。

作=別役 実 演出=加藤拓也
出演=堤 真一、溝端淳平、野間口 徹、小手伸也/高田聖子、中谷さとみ/藤井 隆(ヴィオラ演奏)徳高真奈美
4月6日(土)〜4月26日(金) シアタートラム ※岡山、大阪、福岡公演あり
(問)シス・カンパニー TEL:03-5423-5906

M&Oplaysプロデュース倉持 裕新作公演
『帰れない男〜慰留と斡旋の攻防〜』

M&Oplaysプロデュース倉持 裕新作公演 『帰れない男〜慰留と斡旋の攻防〜』©Yoko Takatani

「あの頑なな目。直進が似合う身体―。」倉持裕は、8年前に自身の作・演出作品で初舞台を踏んだ際の林遣都の印象をそう語り、新作の主人公に重ねる。謎の若い女に導かれた大邸宅で、彼女と年の離れた夫の不可解な態度に翻弄され、正気を失ってゆく男。強烈な個性の登場人物たちによるミステリアスな世界へ。

作・演出=倉持 裕
出演=林 遣都、藤間爽子、柄本時生、新名基浩、佐藤直子、山崎 一
4月13日(土)〜5月6日(月・祝) 本多劇場 ※名古屋、島根、富山、大阪、仙台公演あり
(問)M&Oplays TEL:03-6427-9486

Orchardシリーズ
K-BALLET Opto『シンデレラの家』
In association with PwC Japanグループ

OrchardシリーズK-BALLET Opto『シンデレラの家』 In association with PwC Japanグループ写真=Hajime Watanabe イラスト=ヒグチユウコ

ボーンのロミジュリが若者を抑圧する施設の収容者なら、Kバレエ・オプトのシンデレラは、ヤングケアラーが主人公。現代社会が直面する諸問題のバレエ化に取り組むオプトの新作は、最果タヒの書き下ろし詩集を原案にした、家族に尽くし続ける少女の日常と夢のドラマだ。森優貴、酒井はなという豪華ゲストの共演も楽しみ。

振付・演出・舞台美術=ジュゼッペ・スポッタ 原案=最果タヒ「シンデレラにはなれない」 
出演=森 優貴、酒井はな、白石あゆ美、石橋奨也、岩井優花、小林美奈、杉野 慧、吉田周平、他 K-BALLET TOKYO
4月27日(土)〜29日(月・祝) 東京芸術劇場 プレイハウス
(問)Bunkamura TEL:03-3477-3244