昨年のMotoGP王者であり、開幕4戦で2勝を挙げてポイントリーダーとして第5戦フランスGPに乗り込んだフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)。スプリントではポールから3位に入り決勝レースに臨んだが、決勝は接触リタイアに終わった。

 バニャイヤはレース序盤、アプリリアのマーベリック・ビニャーレスと3番手を争っていた。しかし5周目のターン12手前で2台は軽く接触。それによって体勢を崩したビニャーレスがバニャイヤを巻き込むような形でお互いグラベルに飲み込まれていった。

 接触直後はビニャーレスがグラベル上でバニャイヤに詰め寄り口論になるなど、一触即発の場面もあったが、スチュワードはどちらにもペナルティを与えないという判断を下した。

 このクラッシュで無得点となったバニャイヤは、決勝レースを制したマルコ・ベッツェッキ(VR46)に1点差に迫られる形となった。ただ彼は今回の接触をレーシングインシデントだと感じており、ビニャーレスには腹を立てていないと語った。

 アクシデントについて尋ねられた時、バニャイヤは次のように答えた。

「いや、マーベリックには怒っていない」

「あの(ビニャーレスのグラベル上の)リアクションはあまりにもアグレッシブで気に入らなかった。でもアドレナリンが出ていると、そういうことも起こり得る」

「他のライダーとぶつかったり、ぶつけられたりで転倒すると、自分のレースを台無しにされたと感じてライダーは怒るものだ。だから僕は彼に対して怒っていない。不運な状況によるレーシングインシデントだったと考えている」

 一方のビニャーレスは、ターン11から12に向けて切り返す際にバニャイヤはもう少しスペースを残せたのではないかと考えているが、基本的にはバニャイヤ同様でレーシングアクシデントだという認識を示した。

「残念なことに、僕たちは最悪の場所で接触してしまった」

 ビニャーレスはそう振り返る。

「僕は彼をクリーンに抜いたから残念だ。僕の視点から見ると、彼は切り返す際にもう少しスペースを空けることができたと思う。ただ、ポテンシャリの高さを感じていた週末でふたりとも0点になってしまったことはとにかく残念なことだ」

「僕は相手がどこにいるか分からなかったし、一方で彼は方向展開の際に僕のことが少し見えていたかもしれない。ただこれは非常に複雑なことで、僕たちには異なる見解があるので、(責任の所在は)スチュワードが決めることだ。結局のところこれはレーシングインシデントだと思うし、それ以上のことはない」