トヨタ、ル・マン本番に向けてパフォーマンス面で”厳しい状況”。理外の性能調整の影響は大きいか
今季フェラーリ499Pや、ポルシェ936といった新たなライバルを迎え撃つ形となったトヨタGR010。WEC(FIA世界耐久選手権)の開幕3戦では、いずれもトヨタが勝利を収めた。
しかしル・マンの公式テストでは状況が変わり、フェラーリやポルシェが速さを見せている。もちろん、ル・マンの舞台であるサルト・サーキットは他のコースとは異なる特殊性を持っているが、こうした勢力図の変化には、テストデーを前に変更されたBoP(性能調整)が影響していると考えるのはごく自然なことだろう。
元々、ル・マン24時間後までBoPの変更は予定されていなかった。しかしテストを前に新たなBoPが発表。それも、規制が異なるLMHとLMDh間の性能を調整することを目的としたプラットフォームBoPの変更ではなく、車両ごとに異なる調整が行なわれたのだ。
中でもトヨタのGR010は37kgの重量増と一番厳しい。フェラーリ499Pも重量は増えているが24kgと、トヨタとの差は縮まる方向の調整だ。
ポルシェ963はわずか3kg、キャデラックのVシリーズ.Rは11kg増。プジョー9X8やグリッケンハウス007、ヴァンウォール・バンダーベル680に至っては変更なしだ。
トヨタ7号車は、テストデー午前のセッションでトップから1.1秒差の5番手、午後は0.3秒差の3番手だった。僚友8号車はそれぞれ8番手、9番手となっている。
この結果を受けて小林は、このBoP変更への言及を避けつつも「パフォーマンス面で厳しい状況」にあるとコメント。「作業を続ける必要がある」と語った。またトヨタ7号車で小林と組むマイク・コンウェイは「まだラップタイムを見つける必要がある」と話した。
テストデーの結果について、Toyota Gazoo Racing Europeでテクニカルディレクターを務めるパスカル・バセロンも、「我々にとってベストな1日ではない」と話した。
さらにコメントを求められたバセロンは「ラップタイムを見ていただければ、お分かりになるだろう」と答え、BoPについては言及せず。「(足りないペースを見つけることが)我々の仕事であり、それに取り掛かるだけだ」と語るにとどめた。
また、7号車と比べて8号車のペースが悪いことについても、バセロンは原因が完全には分かっていないと言う。
「7号車よりも8号車が遅いという問題があり、(ペース不足は)完全には理解されていない」
7日(水)からはレースウィークのプラクティスが開始されるが、トヨタは決勝レースに向けて”ハンデ”を跳ね返すための強さを見つけ出していかなければならない。