レッドブルは、セルジオ・ペレスが今季限りで契約満了となるため、2025年に向けてマックス・フェルスタッペンのチームメイトを誰にするか検討を続けているが、2026年にF1に参入するアウディがドライバー市場にプレッシャーをかけている中でも、決断を急がないという。

 今シーズン、ペレスは4戦中3戦でフェルスタッペンに次ぐ2位となっており、ドライバーズランキングでも2番手を確保している。

 しかし、レッドブルはペレスが長期にわたってこの調子を維持できるかどうかを見極めたいと考えている。ペレスは昨シーズン、今年と同じように好調なスタートを切ったが、シーズン中盤にスランプに陥り、これが彼の将来に疑問符を抱かせる要因となった。

 レッドブルがペレスとの契約を継続したくないと判断した場合、チームには多くの選択肢が存在している。

 そのひとつが、姉妹チームのRBからドライバーを昇格させることだ。特に角田裕毅は3戦連続予選Q3進出、そして2戦連続でポイントを獲得しており、チームメイトのダニエル・リカルドより印象的なパフォーマンスを見せている。

 しかしレッドブルは他の経験豊富なドライバーも候補として評価しているようだ。

 アレクサンダー・アルボンもその候補に挙げられているが、ウイリアムズとの契約があるため、2025年の起用は難しい。一方で、レッドブルは2026年以降の契約について、アルボンとの優先交渉権を有しているようだ。

 候補リスト上位に名を連ねていると考えられるのは、フェラーリのカルロス・サインツJr.だ。ルイス・ハミルトンのフェラーリ移籍に伴い、シートを失うことが決まっているサインツJr.だが、今季はオーストラリアGPで勝利。レッドブルがこれまでとは違ったことをする必要があると考えるなら、間違いない選択となるだろう。

 しかし、サインツJr.の選択肢はレッドブルだけではないという事実が、状況を複雑にしている。

 情報筋によると、アストンマーティンの中にはフェルナンド・アロンソとランス・ストロールのコンビを続けるよりも、2025年にサインツJr.を迎え入れ、2026年の新ルール時代に備える方がいいと考える派閥があるようだ。

 また、ザウバーを買収する形で2026年からF1に参入するアウディもまた、ドライバーを探している。

 アウディが早ければ来年にも、自分たちのプロジェクトを牽引するドライバーを確保しようとしていることから、その候補になったドライバーの決断をあまり長く待てない可能性がある。レッドブルも、それほど悠長に構えていられなくなる可能性がある。

 しかし、レッドブルは他チームの意向には動じないと主張し、2025年に向けて最強のドライバーコンビを確保するために必要な時間をかけると語っている。

 こうした状況についてmotorsport.comの独占取材に応じたレッドブルのモータースポーツアドバイザー、ヘルムート・マルコは次のように語った。

「ドライバー市場は4月に爆発的に活発化した」

「ばかげているが、我々自身がこのゲームに飛び込むことはない。どうなるか見てみて、その後にベストな選択をする」

「何が起こるかは分からない。アウディが圧力をかけていると聞いているが、新参者がドライバー市場に圧力をかけるのは少し奇妙なことだ」

 レッドブルは決断を夏まで待つとしているが、ペレスはもっと早く事態が動き出すと考えている。

「それに関して僕はかなりリラックスしているよ」と、ペレスはSkyに語った。

「F1では14シーズン目だし、この先何が起こるにせよ、このスポーツでこれまでやってきたことにすでに満足している。時間の問題だと思う」

「言うまでもなくドライバー市場は動いているし、今後数週間のうちに多くの動きがあるのは間違いない。だから、1カ月以内には来年自分が何をしているのかが本当にわかると思う」

 レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、チームのセカンドシートの行方はペレスの手に委ねられていると語った。

「彼は今やっていることを続ける必要がある」

「今年はドライバー市場全体が非常に早いようで、誰もが焦っているように見える」

「まだ4レースしか消化していない。我々はそれほど急いではいないし、我々のマシンにかなりの関心が寄せられているのは明らかだ。でもチェコ(ペレス)には優先権があるし、来年のことを考え始めるまでには、まだ数レースかかりそうだ」